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保育所保育指針の歴史と今【第9回】子育て支援・職員の資質向上・災害への備え

4 分前
読了時間: 8分

まずは解説動画をご覧ください(約14分)


▲ 保育所保育指針の歴史と今 第9回。現行指針編の最終回です。


前回は、現行の保育所保育指針の中身を読み解きました。キーワードは3つ。3つの視点、5領域、10の姿でしたね。

あれは子どもの育ちに直接関わる部分でした。

今日はその保育を、周りから支える仕組みのお話です。現行指針編の最終回になります。

扱うのは3つの章です。

第3章 健康及び安全。第4章 子育て支援。第5章 職員の資質向上。

子どもの命を守り、保護者を支え、そして保育者自身が育っていく。この3つが揃って、初めて質の高い保育が実現します。




第4章 子育て支援|章の名前が変わりました

まず第4章の子育て支援からいきましょう。

実はこの章、平成29年の改定で名前そのものが変わったんです。

では前はどうだったのか。平成20年の保育所保育指針では、こういう名前でした。



章の名前

平成20年版(第6章)

保護者に対する支援

平成29年版(第4章)

子育て支援


ちょっとした違いに見えますが、これには大きな意味があります。

保護者に対する支援。この言葉が指していたのは、目の前の子どもというより、保護者というイメージでした。

でも子育て支援となると、もっと広い。

園に通っている家庭はもちろん、地域で子育てをしているすべての親御さんを視野に入れるという宣言になるんです。

大事なところなのでもう一度申し上げます。園に通っている家庭はもちろん、地域で子育てをしているすべての親御さんを視野に入れる。そういう宣言になるんですね。

第5回でお話ししたとおり、地域の子育て拠点へという流れは平成11年に始まっていました。それが章の名前にまではっきり現れたのが、この現行の指針というわけなんです。




子育て支援は、2つの輪でできています

ではその子育て支援、具体的にはどう整理されているのでしょうか。大きく2つの輪があります。



対象

中身

ひとつ目の輪

保育所を利用している保護者

送り迎えの中で子どもの様子を伝え合う、悩みを聞く、仕事や家庭の事情に配慮した個別のサポート

ふたつ目の輪

地域の保護者

子育ての相談、園庭の開放、一時預かりなど


ひとつ目は、日常の保育と深くつながった支援ですね。

ふたつ目は、園に通っていない家庭も対象です。地域に開かれた子育ての拠点として動くわけです。

例えるなら、保育所が地域の子育ての実家のような存在になるというイメージです。

核家族化で身近に相談相手がいない家庭も増えていますから、この役割はますます大切になっています。




第5章 職員の資質向上

続いて第5章、職員の資質向上です。

保育の質は、結局のところそれを担う人で決まるということですね。だからこの改定では、職員が育つ仕組みもしっかり書き込まれました。

ポイントは2つです。


ひとつ目は、保育士さんだけの話ではないということ。

看護師さん、調理員さん、栄養士さん。つまり園で働くすべての職員が、それぞれの専門性を高めていく。園全体でレベルアップしていこうという考えです。


ふたつ目は、組織的に取り組むということ。

一人ひとりがバラバラに頑張るのではなく、園として計画的に、みんなで学び合う。個人任せにしない。 ここが大事なんですね。




キャリアパスと、施設長の責務

この職員の育ちを語るうえで外せないキーワードが、キャリアパスです。

キャリアパスとは、その職場でどんなふうに成長し、ステップアップしていけるかという道筋のことです。この経験を積めば、次はこういう役割へ、という見通しですね。

平成29年の改定では、このキャリアパスを見据えて研修の機会を充実させることがはっきり示されました。保育士さんたちが目標を持って成長していけるように、道筋を整えたわけですね。

そして、その体制を作る責任者が施設長、つまり園長先生です。

指針には施設長の責務という項目があって、園長が研修の計画を立て、職員が学びやすい環境を整えるという役割が明記されています。

このキャリアアップの流れを支える具体的な仕組みが、保育士等キャリアアップ研修です。保育所保育指針の改定と歩調を合わせて整えられました。




第3章 健康及び安全|災害への備えが新設されました

そして最後に第3章、健康及び安全です。子どもの命と健康を守る、とても大切な章ですね。

ここも時代に合わせて見直されました。食物アレルギーへの対応、感染症の予防、そして食育。こうした内容がより充実しています。

そしてこの改定が特に象徴的なのが、災害への備えという項目が新しく設けられたことです。

背景には、東日本大震災をはじめとする大きな災害の経験があります。

子どもたちの命を、いざという時にどう守るのか。具体的には、定期的な避難訓練。災害が起きたときの保護者への連絡や、子どもの引き渡しの方法の確認。そして地域の消防や自治体との連携。こうした備えを日頃から整えておくことが、はっきり明記されたんですね。

子どもを預かるということは、その命を預かるということ。

その重い責任が、この災害への備えという項目に込められていると思います。




現行指針編の3回を振り返ります

第7回から今日までの3回を、まとめて振り返ってみましょう。


回

見てきたこと

テーマ

第7回

なぜこの大改定だったのか

乳児保育の充実と幼児教育の位置づけ

第8回

保育の中身

3つの視点・5領域・10の姿

第9回

保育を支える仕組み

子育て支援・職員の資質向上・健康と安全


この3つの輪が揃って、今私たちが使っている平成29年の保育所保育指針ということなんです。

子どもの育ちを真ん中に置いて、それを保育の中身で支える。とてもよく考えられた、立体的な指針なんですね。

振り返れば、昭和40年のあの通達から半世紀あまり。指針は時代とともに姿を変えながら、ここまでたどり着きました。




でも、この物語はここで終わりません

次回からはいよいよ、未来の話です。

実は今の指針については、改定に向けた検討がすでに始まっています。

舞台はこども家庭庁。令和9年度の改定に向けて、何が議論されているのか。

ここから、過去の物語とこれからの物語が合流していきます。




大枠を掴んでから、もう一度指針を開いてみてください

ここからは、収録を終えたあとに考えていたことを書き添えます。

これで現行の指針に関しては、大まかな道筋をお話しさせていただきました。

この3回をかけて、大改定の理由、第1章と第2章の細かいテーマ、そして第3章から第5章の、保育を支えているところを確認させていただきました。

こういった大枠を掴んでいただいたうえで、また保育所保育指針を見ると、少し見方も捉え方も変わってくるんじゃないかと思います。ぜひこれを踏まえて、今の指針に目を通していただければと思います。

そして、この指針が理解できたうえで、ということなんですけれども。

次回からは令和9年度の改定に向けて、今議論されている10回分を、ひとつひとつ準備しながら1話1話作っております。第10回以降は、この改定をもっと細かく見ていきます。

私たちが今迎えているこの改定は、来年から周知があって、その翌々年度に施行ということになると思います。そこにいち早くたどり着けるように。

そして大事なのは、それを子どもにどう伝えていくのか。保育の中にどう生かすのかということですので、その準備期間も兼ねて、こういった配信をさせていただいております。

今日これを初めてご覧になったという方は、第1回の「そもそも指針がなかった1945年から65年」のお話からご覧いただくと、流れがつながります。




セミナー・研修のご案内

すずらんチャイルドケアでは、保育士等キャリアアップ研修を運営しております。39都道府県から指定をいただいており、7分野20コースほどを準備してお待ちしております。東京都の指定コースにおきましては、東京都の補助金対象の方は受講料が無料で受けられます。

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