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人事院勧告2026|保育の公定価格改定率は3.8〜4%の予想

  • 1 日前
  • 読了時間: 12分

更新日:11 時間前


まずは解説動画をご覧ください(約27分)


▲ 令和8年8月7日の人事院勧告から、保育の公定価格の改定率を読む


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令和8年8月7日、人事院勧告が出ました。

このシリーズは第1本から第3本まで、この日のために準備してきました。

勧告が出たら資料のどこを見るのか——その1点のためです。


結論から申し上げます。

これまでお話ししてきた見方が正しければ、今年の保育の公定価格の人勧分改定率は、前年より下がる見込みです。

前年度(令和7年度)は5.3%でした。

今年はおそらく3.8%から4%あたりと見ています。


……ここで「下がるの?」と思われた方、いらっしゃいますよね。

あるいは「去年より少なくなるってこと?」と。

その受け取り方は、実は危ないです。 

今日はそこも必ずお話しします。



令和8年の人事院勧告|4つの数字

第2本の動画で「勧告の日には4つの数字が出ます」とお伝えしました。

今年の実数を入れます。


令和8年勧告

① 官民較差

15,056円/3.51%

② 初任給

9,500円の引上げ

③ 級別平均改定率

※後述(今日の核心)

④ ボーナス

4.65ヶ月 → 4.70ヶ月(+0.05ヶ月)

実施は令和8年4月から(さかのぼって適用)。

月給もボーナスも5年連続のプラスで、前年に34年ぶりに3%を超え、今年も2年連続で3%台。高い水準が続いています。

ここで1つ、押さえておいてください。

ニュースの見出しになった **3.51%** という数字です。


前年、令和7年度の官民較差は **3.62%** でした。

今年は3.51%。ほぼ横ばいで、むしろ0.11ポイント下がっています。

第2本・第3本でお話ししたとおり、官民較差は**「配る原資」**です。

ということは、今年は原資がほとんど変わっていない。

では、なぜ保育の改定率が下がるのか。 原資が同じなのに、なぜ下がるのか。ここが今日の核心です。


「級別平均改定率」とは|言葉のミニ解説


これから「級別の平均改定率」という言葉が何度も出てきます。

  • ……職務の段階を表す区分(第1本で解説しました)。

       保育士は1級です。

       主任保育士と所長は2級。

  • 平均改定率……その級にいる人たちの給料が、平均して何%上がったかという数字。


つまり級別の平均改定率とは、1級の人は何%、2級の人は何%と、級ごとに分けて示した数字です。

今日はこの数字を追いかけます。

探し方も第2本でお伝えしましたね。

「本年の給与勧告のポイント」を開いて「級」で検索する、または注記を探す。

実際にやってみた方、いらっしゃいますか。

もしいらしたら、それが一番うれしいです。


今年は資料の1ページ目に載っていました。


行政職俸給表(一)の級別平均改定率(令和8年)

令和8年

1級

4.0%

2級

3.6%

3級

3.4%

4級

3.1%

5級〜10級

3.0%

全体

3.3%

1級は4.0%。**前年は5.2%**でしたから、1.2ポイント下がっています。

3年分を並べると、構造が見えます。



1級

全体

令和6年

11.1%

3.0%

8.1pt

令和7年

5.2%

3.3%

1.9pt

令和8年

4.0%

3.3%

0.7pt

差だけ見てください。8.1 → 1.9 → 0.7。

若手に寄せていた傾斜が、ほぼ消えました。 

今年は1級から6級まで、3.0%〜4.0%の範囲にきれいに収まっています。


第3本の動画で、私はこう申し上げました。

「配分が中堅や管理職に寄った年は、官民較差が大きくても保育は伸びません。逆もまた真です」と。

その"逆"が、今年起きたんですね。


ホールケーキの例え|大きさは同じ、切り方が変わった

ホールケーキを思い浮かべてください。

これを家族で分けたとします。

去年は「育ちざかりの子どもに大きく切ってあげよう」という方針でした。

だから子どもの分が大きくて、大人の分は小さめ。

今年は方針が変わりました。

「家計を支えている大人にもしっかり配ろう」と。

ケーキの大きさは去年とほぼ同じです。

でも、切り方が変わった。 

だから子どもの取り分は、去年より小さくなる。

  • ケーキの大きさ = 官民較差(3.62% → 3.51%、ほぼ横ばい)

  • 切り方 = 級別の配分

  • そして保育士さんは、子どもの側に座っている(1級ですから)


人事院は今年、何と書いていたか

もう1つ言葉の確認です。

資料に出てくる**「中堅層」**。

国家公務員でいうと、係長から課長補佐くらい。

行政職俸給表でいえば3級から5級あたりの人たちです。

対応

令和8年改定率

1級

職員(保育士はここ

4.0%

2級

主任等

3.6%

3〜5級

中堅層

3.4〜3.0%

6級以上

管理職

3.0%

人事院は今年、業務遂行において重要な役割を担っている中堅層以上の職員について、令和7年を上回る改定という趣旨のことを書いています。

私の推測ではありません。資料に書いてあります。


記述の変遷を並べると、はっきりします。

  • 令和6年 → 若年層が在職する号俸に重点

  • 令和7年 → 係長級までの職員が在職する号俸に重点

  • 令和8年 → 中堅層以上


因果をたどれば分かります。

原資はほぼ同じ。

ホールケーキの大きさは一緒。

でも配る場所が変わった。

だから1級の改定率が下がった。

そして保育士は1級である、ということです。


福祉職俸給表を実測する|「別記第1」の使い方

ここまでは行政職の話です。

保育士の格付けは福祉職でしたよね。

そこで今年は、福祉職の俸給表も開いて実測しました。


また新しい言葉が出ます。**「別記第1」**です。

人事院勧告は、実は分厚い文書のセットです。

  • 別紙第1 …… 人事管理の報告

  • 別紙第2 …… 給与の報告

  • 別紙第3 …… 給与改定の勧告

  • そして別紙第3の後ろに、別記第1として俸給表が全部ついている


行政職から福祉職まで何十ページも、給料表の実物が無料で公開されているんです。

ここを開いた人だけが見られる数字があります。

開いたら、どこを見るか。

第1本を思い出してください。

保育士の格付けは福祉職俸給表(一) 1級29号俸でした。

級が横、号俸が縦。

Excelシートのようなものだと申し上げましたね。

国は保育士の給料を、**この1マス(セル)**で指しているんです。

だから見るのは、1級の列と29号俸の行が交わる1マスだけ。

去年の分と今年の分を並べて、そのマスを比べます。

令和7年

令和8年

改定率

行政職の級別改定率

1級(29号俸)

249,700円

259,500円

+3.92%

4.0%

0.08pt

2級

294,200円

304,600円

+3.53%

3.6%

0.07pt

3級

+3.5%台

3.4%

4級

+3.3%

3.1%

5級

+3.10%

3.0%

6級

+3.0%

3.0%

6つの級すべてが、0.3ポイント以内で一致していました。

なぜこうなるのか。

これも人事院の資料に書いてあります。

福祉職俸給表などの他の表は、行政職俸給表(一)との均衡を基本に改定される。 

だから揃うんですね。

設計図が1枚あって、それを見ながら別の建物も建てている。

そういう関係です。

行政職が設計図で、福祉職はそれに合わせて建てられている。


第2本で私は「1級の改定率を代理指標として使えます」とお伝えしました。

代理指標どころではありませんでした。

ほぼ同じ数字が入っていたんです。


「特別給与改善費」の正体が、数字で分かりました

今回もう1つ、確かめられたことがあります。

第1本で通知の記述をご紹介しました。

「主任保育士・保育士にあっては、当該額のほか特別給与改善費を加えたものを本俸基準額としている」。

特別給与改善費

また難しい言葉です。

国が公定価格を計算するとき、保育士と主任保育士について、国家公務員の俸給表の額に少し上乗せをしている。

その上乗せ分の名前です。

なぜ上乗せするのか。

そこまでは通知に書かれていません。

ただ、保育の仕事の性質を考慮したものだろうと推測はできます。

ポイントは、通知の254,694円は俸給表の額そのものではないということ。

でも、いくら乗っているかは、これまで分かりませんでした。

今回、俸給表が手に入ったので引き算できます。


通知の額

俸給表(令和7年)

差=特別給与改善費

保育士

254,694円

249,700円

4,994円

主任保育士

286,416円

280,800円

5,616円

所長

294,200円

294,200円

0円

所長は、ぴったり0円です。

ここが大事です。

通知にはこう書いてありました。

「主任保育士・保育士にあっては」——所長は書かれていない。 

だから上乗せがない。

だから0。

書いてあるとおりだったんですね。

これで何が言えるか。

通知と俸給表が、きちんと接続していることが確認できたんです。

つまり俸給表を見れば通知の金額が読める。

約5,000円という上乗せ額も、今回はじめて数字で分かりました。


令和8年度の本俸基準額を計算する

材料が揃いました。

やることは単純です。

令和8年の俸給表の額に、確定した特別給与改善費を足す。 

それだけです。


令和8年 俸給表

+特別給与改善費

令和8年度 本俸基準額(見込み)

前年比

保育士

259,500円

+4,994円

264,494円

+9,800円/+3.85%

主任保育士

291,200円

+5,616円

296,816円

+3.63%

所長

304,600円

+0円

304,600円

+3.54%

たとえば90名規模の園を想定して、所長1人・主任1人・保育士10人で加重平均すると、約3.81%

因果関係をもう一度たどります。

人事院が中堅層以上に配った → だから1級の改定率が4.0%になった → 福祉職の1級も+3.92%で連動した → だから保育士の本俸基準額は+3.85%上がる → だから公定価格の人勧分は4%前後になる

ただし、特別給与改善費が据え置かれる前提の計算です。

ここが動けば数字は変わります。


公定価格の人勧分改定率|予想レンジ


予想

下限

3.5%

本命

3.8〜4.0%

上限

4.2%

過去2年との整合も見ておきます。


行政職1級

公定価格の改定率

令和6年度

11.1%

10.7%

令和7年度

5.2%

5.3%

令和8年度

4.0%(福祉職1級実測+3.92%)

4%前後(予想)

素直に置けば4%前後。

前年は5.3%でしたから、1.3〜1.5ポイント下がることになります。


3つ、正直にお伝えします

  1. 確定するのは11月〜12月の補正予算が成立してからです

  2. この計算は、国が「こうしなさい」と示した算式ではありません。 

    私が一次資料を並べて組み立てたものです

  3. 外れる可能性があります。 

    3年一致してきましたが、来年も一致する保証はありません


ここが今日いちばん大事|率は下がっても、金額は積み上がる

「改定率が下がる」と聞いて、「じゃあ去年より少ないんだ」と思われませんでしたか。

冒頭でもお聞きしましたね。

これは違います。

階段を想像してください。

去年、5.3%分の段を上がりました。

今年は4%の段を上がる。

段の高さは去年より低い。

でも、上がることに変わりはない。 

そして去年上がった位置から、さらに上がるんです。

降りるわけではありません。

数字で見ましょう。

保育士の本俸基準額です。


  • 令和7年度 …… 254,694円

  • 令和8年度 …… 264,494円(見込み)

  • 差:+9,800円


率は下がる。でも金額は積み上がる。

なぜここを強調するのか。

職員さんへの説明で事故るからです。

想像してみてください。

年度末、職員さんからこう言われます。

「先生、今年は率が低いんですよね。ということは、去年より少ないんですか?」

あるいは、こんな声が出るかもしれません。

「去年10.7%で、今年4%。国は保育を諦めたんですか?」

そのときに「去年上がった額の上に、さらに乗るんです」と説明できるかどうか。

ここで園の信頼が決まってきます。


これからどう動くのか|令和8年度のカレンダー

第1本でお見せしたカレンダーを、今年の日付で置き直します。

時期

何が起きるか

8月7日

人事院勧告 ← ここは終わりました

秋の国会

給与法が改正される

11月〜12月

補正予算が成立し、公定価格の改定率が確定 ← ここが本番

12月

国が改定後の単価を示す

3月中

市町村が施設へ

3月中〜(遅くとも次の賞与まで)

園が職員へ支払う(国の要請)

流れをひと言でいうと、8月に方向が見えて、12月に数字が決まって、3月にお金が動く。 この3段階です。

そして今、私たちは1段目が終わったところにいます。


次の動きは12月|今のうちに準備できる3つのこと

次の動きは12月です。だから、今のうちにできることがあります。


1. 今日の予想「4%前後」を前提に、支給と配分の方針を先に決めておく

  実額が出てから考え始めると、3月支給に間に合いません。

2. 職員さんへの説明の言い方を準備しておく

  さきほどの階段の話です。

  年末になって慌てて説明すると、誤解が生まれます。

3. 去年の配分実績を手元に置いておく

  誰にいくら配ったのか。

  同じ考え方で行くのか、それとも変えるのか。

  ここを先に決めておくと、12月に単価が出てからすぐ動き出せます。


このうちいちばん重くて時間がかかるのが、配分の設計です。

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今日のまとめ

1. 令和8年の勧告は、官民較差が15,056円・3.51%、ボーナスが0.05ヶ月増。

  官民較差は前年3.62%からほぼ横ばい。

2. ところが配分が中堅層以上に変わり、行政職1級の改定率が5.2% → 4.0%へ下がった。

  福祉職俸給表で実測すると1級29号俸は+3.92%。

  6つの級すべてが行政職の級別改定率と一致していた。

3. したがって公定価格の人勧分は**3.8〜4%**と予想する。

  前年の5.3%より下がる。

  ただし率は下がっても、金額は積み上がる。


次回・第5本がこのシリーズの最終回です。

こども家庭庁はこの先どうしたいのか。

令和8年度予算・こどもまんなか実行計画・こども白書から、国の方向性を読みにいきます。


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