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委託費の内訳が示されました|公定価格の人件費・管理費・事業費とは

  • 6 時間前
  • 読了時間: 14分

まずは解説動画をご覧ください(約24分)

▲ 令和8年7月31日付の通知から、委託費の内訳を読む


公定価格FAQ号外シリーズの6本目です。

8月3日に更新された2つの資料のうち、今回は「令和8年度における私立保育所の運営に要する費用について」(令和8年7月31日付、こども家庭庁成育局保育政策課長通知)を取り扱います。

委託費の中身——つまり人件費と管理費と事業費の内訳が示されました。



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はじめに|今回は私立保育所向けの回です


最初に1つ、はっきりお伝えしておきます。

この回は私立保育所向けです。 認定こども園・幼稚園・地域型保育事業の先生には、直接は当てはまらない話になります。

ただ、公定価格の中身がどう積算されているのかという話ですので、参考にはなると思います。よろしければ、そのままお読みください。

では、なぜ保育所だけの話になるのか。理由があります。

私立保育所は施設型給付ではなく、市町村からの委託費として費用が支払われる仕組みです。そして通知の冒頭にこう書かれています。


その性格上、一定の使途範囲が定められている

使途範囲が決まっている。だからこそ、その内訳を示す必要がある。今回の通知は、そういう性格のものです。

前回の号外5との違いも説明しておきます。号外5では「同じ第32版なのに中身が違う」という、資料の扱い方の話をしました。今回は制度の中身の話です。




9日間で差し替えられた通知


本題に入る前に、1つお伝えしたいことがあります。

通知の冒頭を読んでいくと、こう書かれています。


なお、令和8年度における私立保育所の運営に要する費用について(令和8年7月22日付 こども家庭庁成育局保育政策課長通知)は廃止する

つまり、7月22日にも同じ通知が出ていたんですね。それが廃止されて、7月31日の通知に差し替わった。9日間で2回、変わっているということです。

7月22日付はすでに廃止されていますので、今は入手できません。ですので、何が変わったのかは追えません。理由も公表されていませんので、私からは申し上げられません。

ただ、前回の号外5でお話しした話とつながります。資料は入れ替わることがある。だからこそ、版数や日付を確認する習慣がやはり大事だということですね。

今日お話しするのは、7月31日付の通知の内容です。




通知の目的|要件は変わっていません

通知の目的から、原文を読みます。


委託費として運営に要する費用が支給されることとされており、その性格上、一定の使途範囲が定められている。その適切な運用のため、令和8年度における公定価格の基本分単価等の内訳について下記のとおり通知する

ここを押さえておいてください。

この通知は、加算が増えたり要件が変わったりするものではありません。 内訳を示す通知です。

「また新しい要件が増えたのか」とご心配された先生、そこは大丈夫です。

構成は全10ページです。

ページ

内容

1〜2

事業費・管理費・人件費

3〜4

夜間保育加算と休日保育加算の内訳

5

処遇改善等加算Ⅰの内訳、その他の加算の分類

6〜10

別紙の管理費一覧

用語を1つ。委託費とは、私立保育所に市町村から支払われる費用のことです。認定こども園や幼稚園に支払われる施設型給付とは扱いが違います。だから使途の範囲が定められているんです。ここが構造の話です。




公定価格の基本分単価は3つに分かれる

通知にはこういう式が書かれています。

基本分単価 = 事務費(人件費+管理費)+ 事業費

つまり大きく3つに分かれます。人件費、管理費、事業費です。

例えるなら、委託費は1つの封筒で、その中が3つに仕切られているようなイメージです。それぞれいくら分が入っているのか。それを示したのが、今回の数字だとお考えください。




事業費(一般生活費)と管理費

まず封筒の中の事業費です。これは一般生活費です。給食の食材費などがここに含まれます。

区分

こども1人あたり月額

3歳未満児

11,871円

3歳以上児

2,052円


3歳未満児と3歳以上児で、ずいぶん差がありますよね。3歳以上児は副食費が実費徴収の対象になっているため、公定価格に積まれている額が小さくなっています。

せっかくですので、過去の同通知から4年分を並べてみました。


年度

3歳未満児

3歳以上児

令和5年度

10,812円

1,868円

令和6年度

11,179円

1,932円

令和7年度

11,492円

1,986円

令和8年度

11,871円

2,052円


毎年、着実に上がっているんですね。令和7年度から令和8年度で、3歳未満児は379円のプラスです。食材費の上昇は積算にも反映されているということになります。

ここも数字を見るときの注意が1つあります。この額は積算上の単価です。実際にかかっている食材費と一致するとは限りません。

次に管理費です。これは「別紙のとおり」と書かれていて、6ページ以降に一覧表があります。定員区分・保育必要量区分・年齢区分の組み合わせで決まります。見方は後ほどお話しします。

そして人件費です。本俸基準額と、人件費の年額が示されています。

ここで1つ押さえていただきたい点があります。事業費と管理費は全国一律です。ところが人件費だけは地域区分別になっています。理由は、地域手当が地域区分ごとに違うからです。




人件費|本俸基準額と特殊業務手当

人件費の1つ目、本俸基準額です。月額の本俸基準額として、次の額が積算されています。


職種

本俸基準額(月額)

特殊業務手当

所長

294,200円

なし

主任保育士

286,416円

9,300円

保育士

254,694円

7,800円

調理員等

228,800円

なし


注記も見ておきましょう。3つ書かれています。

1つ目は格付けです。 格付けとは、国家公務員給与法に定める俸給表および級号を指しています。表の中に「福二の29」といった記号がありますが、これがそれです。福祉職俸給表の2級29号俸という意味になります。

2つ目。 主任保育士と保育士については、その俸給額のほかに特別給与改善費を加えたものを本俸基準額としている。単純に俸給の額そのままではない、ということですね。

3つ目。 特殊業務手当は、本俸基準額とは別に加えています。つまり足し算になります。




人件費の年額は地域区分別|全国平均と地域差

ここが今回いちばん注目される表だと思います。人件費の年額が、地域区分別に示されました。

数字が多いので全国平均だけ挙げます。


職種

人件費年額(全国平均)

所長

572万円

主任保育士

559万円

保育士

491万円

調理員等

429万円


地域区分別に見ると、幅があります。保育士の例です。


地域区分

人件費年額

2地域(東京都23区など)

548万円

その他地域

458万円

90万円


地域手当の違い、ということですね。

注意書きの3つをご確認ください。

1つ目。 この人件費年額は、賞与や地域手当等を含めて算出した予算積算上の人件費の年額です。月給を12倍したものではありません。ボーナスも入った年間の総額です。

2つ目。 事業費や管理費は全国一律なのに人件費だけ地域区分別なのは、地域手当が地域区分ごとに異なるからだと明記されています。

3つ目。 全国平均は、加重平均により算出した地域手当の全国平均値を用いて計算された額です。単純な平均ではないということです。

さて、この数字を見て「うちの園はこれより低いのでは」と思われた先生。そこは一旦、待ってください。




ここが今日いちばん大事|3つの歯止め


人件費の表には、注記として3つの歯止めが書かれています。順に見ていきます。


歯止め① 差額だけで適否は判断できない


本通知で示す人件費と実際に支払われている人件費との差額のみをもって、単純に給与水準の適否を判断することはできない

理由も書かれています。職員の人数や経験年数、賃金体系等は保育所ごとに異なる。そして、配置基準を超えて職員を雇用している保育所では、その職員数に応じた職員1人当たりの給与水準となることも考えられる。

ここは大事なところです。

手厚く配置している園は、同じ人件費を多い人数で分けることになりますから、1人当たりは下がります。でもそれは、保育の質を上げるために人を増やした結果ですよね。それを「給与が低い園」と評価するのは違う。通知にもそう書いてあるわけです。


歯止め② これを理由に給与を下げてはいけない


本通知で示す1人当たりの人件費を理由に給与水準を低下させることは不適切である

これは逆向きの歯止めですね。国の積算より払いすぎているから下げよう、という使い方はしてはいけませんということです。


歯止め③ 処遇改善等加算は含まれていない


ここを見落とすと、この後の計算が合いません。

人件費額には、処遇改善等加算Ⅰ、処遇改善等加算Ⅱ及び処遇改善等加算Ⅲは含まない

つまり、この表の数字は処遇改善等加算が入っていない状態のものです。実際の給与と比べるなら、処遇改善等加算の分を足して考える必要があります。保育士の全国平均491万円という数字だけを見て実際の支給額と比べても、話が合わないわけです。

この3点を押さえずに数字だけが独り歩きすると、園の中でも外の議論でも話がずれてしまいます。ぜひセットで覚えてください。




処遇改善等加算Ⅰの内訳|管理費2%は動かない

次に処遇改善等加算Ⅰの内訳です。これも面白い表になっています。加算率ごとに、人件費と管理費に分かれているんですね。


加算率

人件費

管理費

12%(平均経験年数10年以上)

10%

2%

11%

9%

2%

↓ 以下、人件費が1%ずつ下がる


2%

2%

0%

2%


ここで2つ、気づいていただきたいことがあります。

まず1つ目。管理費部分は、どの加算率でも2%です。 加算率が下がっても、管理費の2%は動きません。

そして2つ目。 いちばん下の2%加算は、人件費が0%で管理費が2%。つまり2%加算は全額が管理費ということになります。

処遇改善等加算は人件費に充てるものというイメージがありますが、区分Ⅰについては積算上は管理費の部分も含まれています。ここは知っておくと、資金の使い方を考えるときに役に立つと思います。




その他の加算は人件費関係か管理費関係か

続いて、その他の加算です。ここも整理されていて、人件費関係と管理費関係に分けて列挙されています。


人件費関係

管理費関係

処遇改善等加算Ⅱ

減価償却費加算

処遇改善等加算Ⅲ

賃借料加算

1歳児配置改善加算

冷暖房費加算

3歳児配置改善加算

除雪費加算

4歳以上児配置改善加算

降灰除去費加算

主任保育士専任加算

高齢者等活躍促進加算

療育支援加算

施設機能強化推進費加算

事務職員雇上費加算

小学校接続加算

チーム保育推進加算

第三者評価受審加算

栄養管理加算(単価A・B)

栄養管理加算(単価C)


保育ICT推進加算


特別地域保育体制強化対応加算


人を配置する加算が人件費関係に入る、という考え方ですね。分かりやすいです。

ここで2点お伝えしておきます。

まず1つ目。 号外2と号外3で扱った保育ICT推進加算は、管理費関係です。 システムの費用ですから、考えてみれば当然のことかもしれません。ただ、この加算にはICT活用の責任者を選任するという「人」の要件がありましたよね。それでも積算上は管理費です。ここは押さえておいてください。

そして2つ目。 栄養管理加算は、単価の区分で分かれます。AとBは人件費関係、Cは管理費関係。 栄養士を配置している場合と、委託している場合の違いですね。同じ加算名でも扱いが変わるという例です。




調整(減算)は3つに按分される

次に調整部分、つまり減算の扱いです。米印でこう書かれています。


調整部分については、調整部分以外の人件費、事業費、管理費の割合で按分して算出すること

つまり減算は、人件費だけから引かれるのではありません。 人件費・事業費・管理費の3つに、その割合で按分して引かれる。これが積算上の扱いです。

対象として列挙されているのが6つ。


  1. 分園の場合

  2. (給食)施設を設置していない場合

  3. 土曜日に閉所する場合

  4. 定員を恒常的に超過する場合

  5. 安全計画の策定等をしていない場合

  6. 経営情報等の報告を行っていない場合


後ろの2つは、号外4でお話しした調整がここに入っています。安全計画の調整は令和8年7月から適用が始まっていますので、もし該当する園があれば、減算は3つに按分されて引かれるということになります。




夜間保育加算・休日保育加算の内訳

3ページと4ページに、夜間保育加算と休日保育加算の内訳があります。手短にいきます。

夜間保育加算は、定員区分と年齢区分で事業費と管理費が示されています。面白いのは、事業費は定員区分によらず一定なんですね。ところが管理費は定員区分で変わります。 定員が大きいほど1人当たりは小さくなるという形です。

休日保育加算は、年間延べ利用者数の区分で示されています。たとえば210名までなら、事業費が60,000円、管理費が3,078円です。

そして両方に共通の注意書きがあります。


含まれる人件費は、当該加算額から本表の事業費・管理費を減じて算定する必要がある

つまり人件費の額は直接書かれていなくて、加算額から差し引きで出すという設計です。




別紙の管理費一覧は「自園の行」だけ見る

別紙6ページから10ページの管理費一覧です。5ページ分の大きな表ですが、全部覚える必要はありません。自園の定員区分の行だけ見ればいいんですね。

定員区分・保育必要量区分・年齢区分。 この3つで、自分の園の行を探してください。




この通知を何に使えるか|3つ

ではこの通知を何に使えるのか。3つ挙げます。今日も断定はしません。

1つ目。 委託費の使途を検討するとき、人件費・管理費・事業費の内訳が根拠として示されたことになります。これまで感覚でお話ししていた部分に、数字の裏付けが持てるかもしれません。

2つ目。 処遇改善等加算の実績報告で人件費を見るとき、この数字には加算が含まれていないことを念頭に置いていただくと良いかもしれません。さきほどの歯止め③のところです。

3つ目。 加算を取るときに、それが人件費関係か管理費関係かを確認しておく。これは支出計画を立てるときに役に立つと思います。たとえば保育ICT推進加算を取るなら管理費関係ですから、システムの費用に充てるという筋が通ります。

1つご注意をお願いします。この通知は内訳を示すものですので、使途のルールそのものは別の通知に書かれています。 次でその関係を整理します。




3つの通知の役割を整理する

混同しやすいところなので、はっきりさせておきます。3つあります。


通知

改正・発出

役割

留意事項通知

令和8年4月8日改正

加算と調整の要件を定めている

委託費の経理等についての通知

令和8年3月31日改正

使途の範囲を定めている

今回の通知

令和8年7月31日付

基本分単価等の内訳を示している


要件は留意事項通知。使途ルールは経理通知。内訳が今回の通知。この3つは、それぞれ役割が分かれているんですね。号外2・3・4で扱った内容は、実は留意事項通知が根拠でした。

ですので、こうも言えます。今回の通知で、要件も使途ルールも変わっていません。内訳が示されただけです。

前回の号外5でも同じ結論をお話ししました。FAQの差し替えでも、本体は1文字も変わっていなかった。今回も要件は動いていない。

変化があったように見えて、要件が動いたのかどうかを見分ける。 これが大事だと思います。




今日のまとめ

1つ。 基本分単価は「事務費(人件費+管理費)+事業費」という構造です。そして人件費だけが地域区分別になっています。

2つ。 人件費の年額には、処遇改善等加算Ⅰから区分Ⅲが含まれていません。 そして差額のみをもって給与水準の適否を判断することはできませんと、通知にはっきり書いてあります。数字だけを独り歩きさせないでください。

3つ。 保育ICT推進加算は管理費関係です。そして調整、つまり減算は人件費・事業費・管理費に按分して引かれます。

号外シリーズは、これで一応の完結です。また新しく更新されたら、号外編としてご説明させていただきます。

次回はできれば第8回に戻って、定員区分と地域区分を扱いたいと思います。今日お話しした「人件費が地域区分別だ」という話は、ちょうどその前振りにもなっています。地域区分とは何なのか、どう決まっているのか。そこをじっくりやっていきます。




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