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人勧分の支給時期は、年明けにずれるかもしれません|閣議決定は1か月早まったのに

11 時間前
読了時間: 15分

まずは解説動画をご覧ください(約22分)


▲ 人事院勧告分の解説シリーズ、追補版の第2版です。閣議決定は早まりました。でも、人勧分の支給時期は別の話です。


人事院勧告分の解説シリーズ、追補版の第2版です。

1か月前に、「2次補正予算は見送られる見通し」という報道をもとに追補版の動画を出しました。

ところが、そこから1か月の間に話が2回ひっくり返りました。

1回目は10月 6日から7日。見送りではなく、2次補正予算を編成する方向で検討に入ったと報じられました。

2回目は10月 9日。人事院勧告どおり給与を改定するという閣議決定が出ました。しかもこれが、去年よりまるまる1か月以上早いんです。

「じゃあ今年は早くお金が入るんですよね」。そう思いますよね。私も最初そう思いました。

でも、資料を1枚ずつ突き合わせていくと、むしろ逆のことが見えてきます。今回はそこを、ごまかさずにお話しします。




先に結論を3つ



1

国の給与を引き上げる閣議決定は、2026年 10月 9日に出ました。去年より1か月以上早い。これは確定した事実です

2

ところが、公定価格の人勧分のお金の器になる2次補正予算のほうは、年明けの国会に回りそうだと報じられています。こちらはまだ報道の段階で、決まったわけではありません

3

改定率の見通しは、前回までにお話しした数字から変わっていません。変わったのは「いくら上がるか」ではなく、人勧分の支給時期のほうです

3つ目が、今回いちばんお伝えしたいところです。




この1か月の動き

日

何があったか

2026年 9月 3日

2次補正予算は見送られる見通し、という報道。前回の追補版はここを出発点にしました

2026年 10月 5日

臨時国会が召集。会期は12月 12日までと報じられています。ここで給与法の改正案が審議される見通しです

2026年 10月 6日〜7日

政府は2次補正予算を編成する方向で検討に入った。ただし例年のような経済対策ではなく、災害対応などに絞った小ぶりな補正になる見通し

2026年 10月 9日

給与関係閣僚会議と閣議で、人事院勧告どおり給与を改定することが決定

ここまでを一言で言います。見送りの話は消えました。閣議決定は前倒しになりました。 ここまでは園にとって良いニュースです。




閣議決定の中身|「勧告どおり」の4文字

閣議決定は、たった2ページの短い文章です。内閣官房の「公務員の給与改定に関する取扱いについて」(令和8年10月 9日 閣議決定)です。1のところを読んでみます。


一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号)の適用を受ける国家公務員の給与については、去る8月7日の人事院勧告どおり改定を行うものとする。

「勧告どおり」。この4文字がいちばん大事です。 人事院が8月 7日に出した勧告の中身を削らずに、そのまま実施するという意味です。

もし財政が厳しいからと一部だけ実施する年があれば、公定価格に乗ってくる率も変わっていきます。今年はそれがない、ということですね。

値切らず、勧告の中身をそのまま実施するということですね。

「勧告どおり」ですから、人事院勧告に書かれている令和8年4月に遡っての実施も、そのまま行われます。 4月まで遡る。ここも毎年同じで、今年も変わっていません。

2のところは勤務時間と休暇の話です。令和9年度に年次無給休暇と時間単位の代休制度を新設する、と書かれています。こちらは来年度のことなので、今年度の公定価格には関係しません。


3年分を並べてみました

ここが、私がいちばん驚いたところです。同じ文章を3年分並べてみました。文面はほとんど同じで、日付だけが違います。


閣議決定の日

令和6年の勧告

2024年 11月 29日

令和7年の勧告

2025年 11月 11日

令和8年の勧告(今年)

2026年 10月 9日

一昨年と比べると1か月半早い。去年と比べても1か月早いです。

なぜ早くなったのか。そこは正直、分かりません。 資料に理由は書かれていません。想像で理由をつけることはしないでおきます。ただ事実として、国が給与の改定を決める日は、確かに前にずれました。

ここまでは園にとって良い話です。問題はこのあとです。




ここからが本題|人勧分の支給時期を決めるのは、どちらの手続きか

閣議決定が早まったのだから、人勧分の支給時期も早まるのでは。そう考えたくなりますよね。私も最初そう思いました。

でも、動いている手続きは、実は2本に分かれているんです。


何のためのものか

いつ成立を目指すか

給与法の改正案

国家公務員本人の給与を上げるための法律

今の臨時国会(12月 12日まで)の中で成立を目指すと報じられています

令和8年度 第2次補正予算

公定価格の人件費改定を含む、お金の器

11月にも予算案をまとめ、年明けの通常国会で成立を目指すと報じられています

さて、私たちの公定価格の人勧分は、いったいどちらにぶら下がっているんでしょうか。

答えは右です。補正予算のほうですね。

つまり、国家公務員の給料は年内に動き始めるけれども、保育の公定価格のお金の器は年明けに回るかもしれない。 ここが今年のいちばんの注意点です。




ミニ解説|補正予算とは

国のお金の決め方には、大きく2種類あります。


どういうものか

当初予算

4月からの1年分を、前の年の12月から3月にかけて決めるもの

補正予算

年度の途中で災害が起きた、物価が上がった、給与を上げることになった。そういう後から出てきた分を追加で決めるもの

園で例えると、当初予算は年度始めに理事会で通す年間の予算です。そして補正予算は、年度の途中でエアコンが壊れて、臨時の理事会を開いて修繕費を出す。こういったものです。

元の予算書には載っていないお金を、後から正式に足す手続き。これが補正予算なんですね。

今年はすでに6月に1次補正が成立しています。総額3兆1,135億円で、ガソリン代の補助などが中心でした。

そして今検討しているのが2次補正予算です。7月の熊本地震、8月の千葉豪雨と災害が続いたので、その対応が中心になる見通しです。そこに、人事院勧告に伴う人件費も乗ってくるという話なんです。




なぜ毎年、補正予算を待たないといけないのか

ここを、こども家庭庁の資料の実物で確認します。第13回 子ども・子育て支援等分科会の資料1-1(令和7年12月 23日)の3ページ、下のほうにある小さい米印のところです。


(※)人事院勧告に伴う国家公務員の給与改定に伴う公定価格における人件費の改定は例年行っているが、補正予算の成立が必要となる。

国の資料に、はっきりこう書かれています。毎年やっているけれど、補正予算が通らないと動かせない。 これは私の推測ではなくて、一次資料に書かれた事実です。

だから、閣議決定がどれだけ早く出ても、補正予算が通るまで公定価格の単価は動きません。


注意|3,000億円は保育の分ではありません

もう1つ、ここで注意していただきたいことがあります。

報道では、人事院勧告を踏まえた人件費の増加分を3,000億円程度と想定と出ています。これは国家公務員本人の人件費の話です。

私たちの公定価格の人勧分は、こども家庭庁の「子どものための教育・保育給付交付金」で、これとは別の枠になります。3,000億円の中に保育の分が入っている、という読み方はしないでください。 ここは間違いやすいところです。




去年は、どういう形でお金が用意されたのか

こちらも実物で見ていきます。こども家庭庁の第13回 子ども・子育て支援等分科会の資料1-1(令和7年12月 23日)の1ページです。

いちばん上の見出しに「令和7年人事院勧告に伴う国家公務員給与改定を踏まえた公定価格の人件費改定」とあります。そしてその右側に、「子どものための教育・保育給付交付金」として令和7年度補正予算所要額 844億円(うち事業主拠出金389億円)と書かれています。

下のほうには、人件費単価の改定率が年度ごとに並んでいます。

年度

人件費単価の改定率

令和4年

+2.1%

令和5年

+5.2%

令和6年

+10.7%

令和7年

+5.3%

この数字は、皆さんが毎年自治体から受け取ってきた通知の、元になっている数値です。

ポイントは、この844億円が補正予算で用意されたお金だということ。去年も、一昨年も、その前も、全部補正予算がこの器でした。

補正予算は、お金を入れるバケツです。バケツがなければ、どれだけ水道の元栓を早く開けても、水は配れません。 今年もそこは変わらない、ということですね。




運動会で例えると

ここまでの話を、1つの例えにまとめます。ちょうど運動会の時期ですので、園の運動会で考えてみてください。

閣議決定が1か月早まったというのは、「今年は運動会をやります」という案内のプリントが、去年より1か月早く配られたということです。保護者は喜びます。準備も早く始められます。

ところが、です。会場の体育館の鍵を開ける人の予定が、まだ決まっていない。 しかも、どうやら年明けになりそうだと。

案内が早く来たこと自体は、間違いなく良いことなんです。でも、鍵が開かなければ中には入れません。

閣議決定は案内のプリント。補正予算は体育館の鍵です。 今年、私たちが見ておかないといけないのは、案内の日付ではなく鍵のほうです。




去年、国は園に何を求めていたか

もう1つ、去年の実物を見ていただきます。国が市町村と施設に出した要請の中身です(令和7年12月 16日 事務連絡。同じ資料1-1の3ページに概要が載っています)。施設・事業所向けの1番を読みます。


1.速やかな支払・・・12月に単価を示して以降、準備を進め、3月中には職員に改定分を支払うこと(可能であれば市町村からの支弁より早く対応すること)。遅くとも、夏季の賞与(夏季の賞与がない場合は7月中)までには支払うこと

昨年は12月に単価が示されたので、3月中に払ってください、という要請でした。そして遅くとも夏季の賞与まで、賞与がない園は7月中までに、という期限が置かれています。

そしてその下に、数字があります。


支払いの状況

約63%

3月には一部または全部を支払っていた

約73%

7月には支払いを完了していた

逆に言うと、3月に間に合わなかった園が4割近くあったということです。

これは園長先生がさぼっていたわけではありませんよね。単価が出るのが遅い。計算が難しい。年度末で手が回らない。現場はずっと、そういう状態でした。

昨年は12月に単価が出ました。もし今年、補正予算の成立が年明けになったら、単価が出るのはいつになるでしょうか。




今年の人勧分の支給時期はどうなるか|ここから私の見立てです

ここからは私の見立てです。確定した話ではありませんので、そのつもりでお読みください。

1つ目。 補正予算の成立が年明けになると、単価が示されるのもその後になります。去年の12月という時期から、何週間か、あるいは何か月か後ろにずれる可能性があります。

そうなると、昨年のような「3月中に職員に支払ってください」という要請は、そのままの形では出しにくいだろうと見ています。

2つ目。 それでも、令和8年度分として4月に遡るという扱いは続くと見ています。少なくとも私が遡って確認できた範囲では、年度当初に遡る扱いが外れた年はまだありません。

3つ目。 いちばん気をつけたいのは、支給が年度をまたぐ場合です。3月に払うのと4月以降に払うのとでは、処遇改善の実績報告をどちらの年度に載せるかが変わってきます。

学年をまたぐ連絡帳のようなもので、どちらの学年に書くかを先に決めておかないと、後で探せなくなります。 ここは単価が出てから慌てると間に合いません。

繰り返しになりますが、これは見立てです。確定情報が出たら、またこのチャンネルでお伝えします。




改定率の見通しは、変わっていません

ここで、前回までのシリーズで出した数字をもう一度確認します。

人事院勧告の本文に書かれている数字です。行政職俸給表(一)の平均改定率は3.3%。これを級ごとに見ると、こうなります。

級

改定率

1級

4.0%

2級

3.6%

3級

3.4%

4級

3.1%

5級〜10級

3.0%

これは人事院「令和8年人事院勧告」給与勧告の35ページに書いてある数字で、言い切れます。

シリーズの第3本でお話ししたとおり、保育士の人件費は、福祉職俸給表の1級29号俸を基準に積算されています。 そして福祉職俸給表は、行政職俸給表(一)の改定を基本に改定されます。

だから、ニュースで流れる官民較差の3.51%よりも、この1級の4.0%のほうが、公定価格の動きに近いんですね。

ニュースの数字と私たちの数字は、同じ気温でも観測地点が違うと思ってください。私たちの観測地点は1級です。

そこから計算した今年の予想が3.8%から4%ぐらいだろう、と。これは私の推計で、確定ではありません。

そして大事なのは、この数字が、今回の閣議決定でも補正予算の報道でも、まったく変わっていないということです。

変わったのは、いくら上がるかではありません。人勧分の支給時期です。




園として、今やっておくこと3つ


やること

1

対象になる職員のリストを先に作っておく。 単価が出てから名簿を作り始めると、そこで2週間とられてしまいます。昨年3月に間に合わなかった園の多くは、ここでつまずいています。単価が出てから名簿を作るのは、遠足の当日の朝にしおりを作るようなものです。通常の教育・保育に従事する職員は全員が対象になり得ますので、まずは名前を並べるところまでを、今のうちに終わらせておく

2

3月に払う段取りと、4月以降に払う段取り。両方を用意しておく。 どちらになるかは国の予算が決まるまで分かりません。分からないものは待つのではなく、どちらでも動けるようにしておきます

3

保育施設業務管理プラットフォームの案内が来たら、早めに目を通す。 国が開発している請求システムで、令和8年度から運用を開始すると資料に書かれています。改定分を自動で計算する機能がつく予定です。ただしこれは令和7年12月時点の記載なので、実際にいつから使えるかは自治体からの案内で確認してください




職員への説明は、ここが毎年いちばんトラブルになります

昨年の国の資料(令和7年12月 16日 事務連絡)にも、はっきりこう書かれています。


2.職員への周知・・・単純に職員の給与が+5.3%になるものではないところ、改定分の趣旨や内容等を職員に説明すること。

やってはいけないのが、これです。


今年は4%上がるらしいよ

これを言ってしまうと、自分の基本給が4%上がると思われてしまいます。そして実際の金額を見たときに、「話が違う」となってしまいます。

ではどう言うか。私ならこう言います。


国が公務員の給与を引き上げることを決めたので、園に入ってくる委託費もそれに合わせて増えます。ただ、そのお金は国の補正予算が通らないと動きません。今年はそれが年明けになりそうだという報道が出ています。だから支払いの時期は、去年より遅くなるかもしれません。はっきりしたら、金額と時期をもう一度、全員にお伝えします。

支給時期が分からないことは、分からないまま伝えていいんです。 むしろ、それがいちばん信頼されると思います。




今回のまとめ



1

2026年 10月 9日、人事院勧告どおり給与を改定する閣議決定が出ました。去年より1か月以上早い。これは確定した事実です

2

けれども、公定価格の人件費の器になる2次補正予算は、年明けの国会に回りそうだと報じられています。閣議決定が早まったことと、お金が早く入ることはイコールではありません

3

改定率の見通しは変わっていません。変わったのは人勧分の支給時期です

確定情報が入り次第、またこのチャンネルで続きをお伝えします。




収録を終えて

今、かなり大きく人事院勧告の話が動いています。ちょうど金曜日に閣議決定されましたので、私も見たのですが、早まることは分かるものの、いつお金が入ってくるかはちょっと分かりません。ここまでですね。

ですので、こういった形で、また情報が新しく入ってきたら、皆様に解説してお伝えしたいと思っております。




「うちの園はいくら入って、誰にどう配るのか」を出しておきませんか

ここで、少しご案内をさせてください。

今回のお話を読んで、こう思われた園長先生もいらっしゃると思います。


  • 時期が遅れるのは分かった。でも、うちの園にいくら入るのかが、そもそも分かっていない

  • 単価表のどこを見れば自園の数字が出るのか、毎年あやふやなまま

  • 配るとき、誰にいくら、どの名目で払えばいいのか決められない


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誰に、いくら、どの名目で払えばいいか決められない

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時間

2026年 10月 13日(火)

13:10〜15:00

2026年 11月 19日(木)

13:10〜15:00

2026年 12月 17日(木)

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人財育成部 部長 太田 宏彰


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