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2次補正の見送り報道が出ました|人勧分の「金額」ではなく「時期」の話です

  • 10 時間前
  • 読了時間: 8分

まずは解説動画をご覧ください(約14分)


▲ 2次補正の見送り報道は、保育の人勧分にどう関わるのか


人事院勧告分の解説シリーズ、番外編です。

第5本で最終回としたのですが、その後に動きがありましたので、追補版としてお話しします。

9月3日に報道が出ました。

政府が今秋の第2次補正予算の編成を見送る方向で調整に入った、という内容です。

……こう思われた方、いらっしゃいませんか。


2次補正? 何の話でしょう。

国の予算の話でしょう。うちの園に関係あるの?

大いに関係あります。

むしろ、今年の人勧分がいつ入ってくるかを左右する話です。

先に結論を申し上げます。

前回お話しした改定率の予想は変わりません。変わるかもしれないのは、いつ入ってくるかです。




まず言葉の整理から|園の会計と同じ構造です

今日は予算の話が出てきますので、ここを飛ばすと迷子になります。

園の会計を思い出していただくと、そのまま当てはまります。



園では

国では

当初予算

年度が始まる前に事業計画と予算書を作る

3月末までに国会で決める

補正予算

年度の途中で足りなくなったら理事会にかけて組む

国会で議決する。

1回目が1次補正、2回目が2次補正

予備費

何が起きるか分からないから少し置いておくお金

国にも同じものがある


つまり、まったく同じ構造なんですね。規模が違うだけです。

この3つを頭に入れて、報道を見ていきます。




報道の中身

時事通信が9月3日に配信した内容です。

政府は2026年度第2次補正予算案の今秋の編成を見送る方向で調整に入った。

理由は災害への対応を、当初予算と1次補正に計上した予備費で当面賄えると判断したためとされています。

先ほどの3つが全部出てきましたね。当初予算・1次補正・予備費です。

ここでミニ解説を1つ。1次補正・2次補正というのは、単に1回目の補正・2回目の補正という意味です。今年は6月に1回目を組みました。その2回目を見送るという話なんですね。

報道では、次のように伝えられています。


  • 政府関係者は**「高市早苗首相は補正予算は提出しない意向だ」**と説明

  • 一般予備費の残高は8,000億円程度で、「それなりに耐えられる状態」(財務省関係者)

  • 木原稔官房長官は3日の会見で、補正予算について**「真に緊要性の高い施策に限定する」**と強調。必要な時には予備費を活用し、臨機応変に対応していくと発言

  • 秋の臨時国会を10月初旬に召集する案が浮上



なぜこれが保育の話になるのか

国の通知をご覧いただきます。令和7年12月16日、こども家庭庁の事務連絡です。


国家公務員の給与改定に伴う公定価格における人件費の改定分は、保育士・幼稚園教諭等の処遇改善の重要性に鑑み、補正予算によりその所要の額を確保し、年度当初に遡って賃金等を引き上げるために措置したものである

「補正予算により」と書いてありますね。

そして**「遡って」。これは第1本でお話しした遡及**です。時間を巻き戻して適用すること。4月から払っていた分の差額を、後からまとめて出しますよということでした。

つまり、こういうことなんです。

人事院勧告分は、補正予算というバスに乗って園に届いていました。

8月に勧告が出る。12月にバスが出る。そのバスに乗って、4月分まで遡ったお金が園に着く。

今年、そのバスが出ないかもしれない。 そういう報道なんですね。




過去3年、全部このバスでした

本当にそうなのか。確認しました。

令和6年、こども家庭庁の分科会資料にこうあります。


令和6年人事院勧告に伴う国家公務員給与の改定について、補正予算により予算に反映した上で、令和6年4月まで遡って公定価格の引き上げを行う

そして令和6年度補正予算の所要額は1,150億円でした。

令和7年は、先ほど読んだ通知のとおりです。令和5年も同じく補正予算でした。

つまり3年連続、全部この補正予算というバスなんです。

ミニ解説を1つ。1,150億円という数字を覚えておいてください。これが保育の人事院勧告分の規模です。 後で出てきます。

ということは——補正予算が組まれないと、前例がないということになります。




混同しやすいので整理します|給与法と財源は別の話です

ここは2つに分けてください。別の話です。


① 給与法の改正

国家公務員の給与を上げる法律です。これは予算とは別で、国会で法律を通せば成立します。

ミニ解説を1つ。臨時国会というのは、決まった時期に開く通常国会とは別に、必要な時に召集する国会のことです。

令和7年は11月11日に閣議決定して、12月16日に給与法が成立しました。

今年も臨時国会が10月初旬に召集されるなら、この法律は通る可能性が高いとみています。


② 公定価格への反映

これが財源の話です。ここが不透明になりました。

例え話をします。園で「来年から給与規程を変えます」と決めても、そのお金がなければ払えませんよね。規程と財源は別の話なんです。

つまりこうです。国家公務員の給与は上がる。でも、保育の公定価格に反映する財源がどこから出るのかが、まだ分からない。




ここから先は推測が混ざります|4つのシナリオ

確定情報ではありません。そのつもりでお読みください。


シナリオA|予備費で対応する

官房長官が「必要な時には予備費を活用」とおっしゃっていました。

ここで先ほどの数字を思い出してください。予備費は8,000億円。保育の人勧分は1,150億円です。

園で言えば、予備費に100万円置いてあって、そこから13万円ほどを出すようなイメージです。

規模としては、出せない額ではないんですね。


シナリオB|今の予算の中でやりくりする

園で言えば、科目を組み替えるイメージですね。ただし、規模が足りるかは分かりません。


シナリオC|令和9年度の当初予算で対応する

これが、いちばん警戒すべきシナリオです。

もしこうなると、今年4%前後と予測した分が、来年度まで入ってこない可能性があります。


シナリオD|結局、2次補正が組まれる

報道は「調整に入った」段階です。決まったわけではありません。

ただ、1つ気になる点があります。

予備費は法律上、「予見し難い予算の不足」に充てられるものとされています。

人勧分は毎年恒例ですから、これに当たるのかどうか。ここは私では判断できません。




いちばん大事な整理|軸が違う話です

第4本で「今年は3.8〜4%くらいではないか」という予想をお出ししました。

この予想は変わりません。

なぜかというと、話の軸が違うからです。



何で決まるか

今の状態

改定率がいくらになるか

人事院勧告の中身

確定しています(行政職1級4.0%、福祉職1級3.92%)

いつ、どうやって反映するか

国の予算の組み方

今回の報道が影響する部分


例え話をすると、通販で注文したものと同じですね。

何が届くかは、もう決まっているんです。ただ、それがいつ届くかが分からない。 そういう状態です。

金額の見立ては生きています。不透明になったのは、届く時期です。

第4本で「11月から12月に補正予算が成立して改定率が確定します。ここが本番です」とお話ししました。その本番が来ないかもしれない、ということなんですね。




実務の話|職員さんにこう聞かれたら

この報道が広まると、職員さんからこう聞かれるかもしれません。


先生、今年、人勧分なくなったんですか?

そう聞かれたとき、何とお答えになりますか。

「なくなった」ではありません。 私がおすすめする言い方はこれです。


金額の見込みは変わっていません。ただ、国が予算をどう組むかで、入ってくる時期が変わるかもしれないという段階です。11月頃にははっきりします。

ここは、言い方がとても大事です。

「なくなったらしい」と伝わると、職員さんの不安が一気に広がります。しかも、まだ何も決まっていないんですね。

決まっていないことは、決まっていないと伝える。それが一番誠実で、一番園を守ることになると思います。




何を見ていけばいいか|3つに絞ります


① 臨時国会に補正予算案が提出されるかどうか

10月初旬以降です。


② 「公務員の給与改定に関する取扱いについて」という閣議決定

ミニ解説を1つ。閣議決定というのは、大臣が全員そろった会議で、政府の方針を決めることです。園で言えば、理事会の決議にあたります。

例年11月上旬から中旬に出ます。令和6年は11月29日、令和7年は11月11日でした。

ここに財源の書き方が出るはずです。これが一番重要です。


③ こども家庭庁の子ども・子育て支援等分科会の資料

例年12月です。ここに「補正予算所要額◯◯億円」という数字が載ります。

これが載らなければ、別のルートということになります。




今日のまとめ|3点

1つ。 政府が今秋の2次補正の編成を見送る方向で調整に入ったという報道が出ました。まだ決まっていません。

2つ。 公定価格の人勧分は、過去3年すべて補正予算が器でした。だから補正予算がないと前例がありません。

3つ。 改定率3.8〜4%という予想は変わりません。不透明になったのは、いつ入ってくるかです。

そして、職員さんに聞かれたときの言い方。**「金額の見込みは変わっていない。国が予算をどう組むかで入ってくる時期が変わるかもしれない。11月頃にはっきりする」**という段階です。




第5本の宿題に、もう1つ足させてください

第5本で、毎年8月に勧告資料の1行を見に行く習慣をお願いしました。

今年はもう1つ、11月の閣議決定も見ていただきたいと思っています。

動きがあれば、また追補版としてお届けします。

私も、分からないことは分からないとお伝えします。それが一番役に立つと思っています。




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