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処遇改善等加算FAQ第7版 徹底解説【第9回】実績報告書の書き方|様式6のどこに何を書くのか

12 分前
読了時間: 23分

まずは解説動画をご覧ください(約46分)


▲ 賃金改善実績報告書(様式6)の全体像を、地図を描くようにお伝えします。どこに何を書くのか、その数字はどこから来るのかが見えると、ずいぶん楽になります。


※この記事は、配信日時点のこども家庭庁の通知・FAQ等をもとに、太田が読み解いた解釈に基づいています。今後の資料の読み直しや国の新しい情報によって、解釈を変えることがあります。また、国は大枠のルールを定め、その上に各市町村の運用ルールが上乗せされています。特に実績報告書は、提出の締め切りも、添付する書類も、提出の方法も市町村ごとに違います。実務は、必ず管轄の市町村にご確認ください。


前回の第8回では、区分3のお金を誰に、いくら、どうやって配るのかという、配分のルールをお話ししました。

配ったら、次にやることがあります。年度が終わったあとに、それを市町村に報告することです。これが今回のテーマ、賃金改善実績報告書(別紙様式6)です。

9月末で提出が終わった自治体もあれば、10月にこれから提出という自治体もあると聞いています。これからの方は参考に、終わった方は振り返りとしてご覧ください。

この書類は、毎年いちばん気が重いとおっしゃる園長先生が非常に多いところです。項目が多い、言葉が難しい、そして何より、出したあとに差し戻されることがある。今回は、様式6の全体像を地図を描くようにお伝えします。




今日お話しする3つのこと


内容

1

様式6は、6つのブロックでできている。それぞれのブロックが何を確かめるためのものかをつかむ

2

様式6に入る数字のほとんどは、自分で計算して入れるものではない。別添1(職員別表)から自動で引かれる。本当の作業は別添1にある

3

別添1の下のほうに判定が2つ用意されていて、入力が終わると○か×が出る。×のまま出してしまうのが、差し戻しのいちばん多いパターン


そして意外と知られていないのですが、実績報告は出して終わりではありません。そのあと5年間やることがあります。最後にお伝えします。




処遇改善等加算の1年は、保育の1年と同じ形

処遇改善等加算の1年の流れは、3つに分かれます。


時期

すること

様式

年度の初め

その年度にどう賃金を改善するか、計画を立てる

別紙様式4 賃金改善計画書

年度の途中

計画どおりに配っていく

(第8回の配分のルール)

年度が終わったあと

計画どおりに改善できたかを報告する

別紙様式6 賃金改善実績報告書


この流れは、保育の仕事と同じ形をしています。年間指導計画を立て、日々の保育を実践し、年度末に振り返りますよね。その3段階とまったく同じです。

振り返りのときに何を見るかというと、計画に書いたことが実際にできていたかどうか。実績報告も同じで、年度初めに計画した改善が実際にできていたかを確かめる書類です。


用語の解説|「加算当年度」と「基準年度」

書類には、この2つの言葉が何度も出てきます。


用語

意味

令和7年度の実績報告を出す場合

加算当年度

加算の適用を受けようとする年度

令和7年度

基準年度

原則として、加算当年度の前の年度。比べるための物差しになる年度

令和6年度


実績報告は、加算当年度の翌年度に出します。いま令和8年度に入ってから出しているのは、前の年度、令和7年度の実績報告です。ここはよく混乱するところですので、覚えておいてください。




いつ・誰に・何を出すのか

まずは通知の原文です。第6の実績報告のところです。


処遇改善等加算の適用を受けた施設・事業所の設置者・事業者は、加算当年度の翌年度速やかに、第2の加算要件を満たした別紙様式6「賃金改善実績報告書」を市町村の長に対して提出すること。

ここから、3つのことが読み取れます。



原文から読み取れること

いつ

加算当年度の翌年度、速やかに

誰に

市町村の長に

何を

別紙様式6「賃金改善実績報告書」


締め切りは、市町村が決めます

大事な注意点です。「速やかに」とは書かれていますが、具体的な日付は国の通知には書かれていません。つまり、締め切りは市町村が定めます。

「いつまでに出すんですか」というご質問をよくいただきますが、こればかりは私からは申し上げられません。いまいろいろな園とやり取りしていますが、8月末の園もあれば、9月末の園もあり、5月という園も、11月という園もあります。自治体によって違うのです。

必ず、管轄の市町村から届く通知でご確認ください。市町村によっては、国の様式に独自の項目を足していることもあります。


出すものは3つ。ただし、全部の園が3つ出すわけではない


書類

中身

出す園

1

様式6

本体。全体のまとめ

すべての園

2

様式6 別添1

賃金改善明細(職員別表)。職員1人ずつの賃金を書き込む

すべての園

3

様式6 別添2

拠出と受け入れの一覧表。区分2の加算額の一部を、同じ法人が運営する他の施設に回した場合

該当する園だけ


別添2は、複数の施設を運営していて、施設間で加算額を調整した園だけが出すものです。1園だけを運営している場合は、様式6と別添1の2点だけになります。

ここを取り違えて、関係のない様式まで埋めようとしてしまうことがあります。実際、そういうご相談もあります。まず、自分の園はどれを出すのかをはっきりさせておいてください。




様式6は「6つのブロック」でできている

今日の中心です。様式6の全体像を、6つのブロックに分けました。


ブロック

何を確かめるのか

書く園

(1)加算額以上の賃金改善について

国からもらった加算額の分、ちゃんと職員に払ったか

すべての園

(2)加算以外の部分で賃金水準を下げていないことについて

加算でプラスした一方で、よその賃金をこっそり下げていないか、削っていないか

すべての園

(3)施設独自の改善額について

園が自分の持ち出しで上乗せした分

該当する園だけ

(4)前の年度に持ち越した残額の支払い状況

前の年度から持ち越した分を払ったか

該当する園だけ

(5)今回の年度から持ち越す残額の支払い状況

今回の年度から持ち越す分を払ったか

該当する園だけ

(6)他施設・事業所への配分等について

区分2を他の施設と調整した分

該当する園だけ


(1)と(2)が2本の柱です。この2つは、どの園も必ず書きます。(3)から(6)は、当てはまる園だけが書くところです。

ですから、初めて様式6を開いて「項目が多すぎる」と感じられた園長先生、大丈夫です。全部を埋めるわけではありません。まずは(1)と(2)に集中してください。




本当の作業は、別添1にある

別添1に書くのは「全員」

別添1の原文です。


施設・事業所に加算当年度に勤務している職員全員(職種を問わず、非常勤を含む。)を記載すること。

はっきり書かれています。全員です。

クラスの名簿を思い浮かべてください。名簿は、在籍しているお子さんを1人も飛ばさずに書きますよね。途中入園の子も、週に何日かしか来ない子も、全員載せる。別添1も同じです。

保育士だけではありません。調理員、看護師、事務員、用務員。職種を問わず全員です。そして、非常勤の方も含みます。

ここがよく抜けるところなのですが、賃金改善をしていない職員も書きます。 飛ばしてはいけません。書いたうえで、改善実施有無の欄で「なし」を選ぶ。そういう作りになっています。


常勤と非常勤の分け方

常勤の定義も、様式にきちんと書かれています。



定義

常勤

就業規則で定められている常勤の従事者が勤務すべき時間数(教育・保育に従事する者にあっては、1か月に勤務すべき時間数が120時間以上であるものに限る。)に達している者。または、それ以外の者であって1日6時間以上かつ月20日以上勤務する者

非常勤

これら以外の者


非常勤の方には、常勤換算値という数字も入れます。1か月の勤務時間の合計を、常勤職員の1か月の勤務時間で割った数です。


左半分|基準年度の欄(①〜⑦)

別添1の左半分が、基準年度の欄です。令和7年度の実績報告なら、令和6年度のことです。


番号

中身

①

基準年度の支払賃金の総額

②

基準年度の処遇改善等加算の加算額

③

②に係る法定福利費分

④

施設独自の改善額(園の持ち出しで上乗せした分)

⑤

前年度に支払うべき残額に対応した支払い賃金額

⑥

残額に対応した翌年度の賃金額

⑦

①-(②-③)-④-⑤+⑥(自動計算)。

加算の影響を取り除いた「素の賃金」


⑦が何なのか。身体測定を思い浮かべていただくと分かりやすいと思います。身長を測るとき、厚い靴下や靴を履いたまま、帽子をかぶったままでは、正しく測れませんよね。まずそれを脱いでから、足元から頭の上までを測ります。

⑦がやっているのは、まさにこれです。加算でかさ上げされた分、園が独自に上乗せした分、残額として乗ってきた分。これらを全部脱がせて、そのままの賃金がいくらだったのかを出しているのが⑦です。


右半分|加算当年度の欄(⑧〜⑮)

右半分が、加算当年度の欄です。


番号

中身

⑧

加算当年度の支払賃金の総額。ここが出発点

⑨

区分2の改善実績額。

基本給(a)、手当(b)、賞与・一時金(c)の3つに分けて書く

⑩

区分3の改善実績額。

あわせて職名と、改善した給与項目(役職手当か、基本給か)も書く

⑪

定期昇給相当額

⑫

基準翌年度から加算当年度までの人件費の改定部分

⑬

前年度に支払うべき残額に対応した支払い賃金額

⑭

超過勤務手当等に係る調整額

⑮

⑧-⑨-⑩-⑪-⑫-⑬+⑭(自動計算)


お気づきでしょうか。⑮も、加算の影響を取り除いた「素の賃金」です。さっきの⑦と同じ作り方になっています。

つまり、基準年度(前の年)の素の賃金が⑦、加算当年度(今回の年度)の素の賃金が⑮。この2つを並べて比べるのが、様式6の(2)でやっていることです。

処遇改善等加算という名前ですから、改善されていなければいけません。令和7年度の素の身長と、令和6年度の素の身長を比べて、令和7年度のほうが高くなっていなければいけない。令和6年度のほうが高くなっていたら、まずいですよね。これを確認しています。

同じ条件にそろえてから比べないと、比べたことになりません。去年は靴を履いたまま、今年は裸足で測ったら、伸びたのか縮んだのか分かりませんよね。⑦と⑮は、そのための工夫です。


⑨の内訳は、雑にしない

⑨を基本給・手当・賞与の3つに分ける作業は、面倒に感じられるところです。でも、ここで分けた数字が、あとで出てくる「2分の1」の判定にそのまま使われます。ここを雑にすると、判定が狂ってしまいます。




別添1の下にある、2つの判定

今日いちばんお持ち帰りいただきたいところです。別添1の下のほうに判定が2つ用意されていて、職員全員の入力が終わると、○か×かが自動で表示されます。


判定

中身

○になる条件

判定1

区分2と区分3の改善額の2分の1以上を、基本給・毎月の手当で改善しているか

{(⑨のa+⑨のb)+⑩}÷(⑨+⑩)が50%以上

判定2

加算以外の部分で賃金水準を下げていないか

⑮(加算当年度の素の賃金)が⑦(基準年度の素の賃金)以上


判定1は、分子から⑨c(賞与・一時金)だけが外れています。つまり、毎月の側で半分以上払っていますか、という判定です。判定2は、素の賃金が去年より下がっていませんか、という判定です。

判定1については、FAQ No.67で確認されていることがあります。ここでいう改善額には、賃金改善に伴って増えた超過勤務手当や一時金も含まれます。残業代が増えた分も入ってくる、ということです。見落とされやすいところです。


出す前に、必ず下までスクロールする

この2つが×のまま提出してしまう。これが、差し戻しのいちばん多いパターンです。

連絡帳を思い浮かべてください。書き終えたら、日付の欄が空いていないか、保護者の確認の欄が抜けていないか、渡す前にさっと見ますよね。別添1も同じです。入力が終わったら、必ず下のほうまでスクロールして、この2つを見てから出してください。




備考欄は、空欄で出さない

別添1の右端には、備考欄があります。ここは空欄のまま出されることが多いのですが、書くべきことが様式にはっきり定められています。


備考欄には、年度途中の採用や退職がある場合にはその旨、また、賃金改善額が他の職員と比較して高額(低額、賃金改善を実施しない場合も含む)である場合についてはその理由を記載すること。

場面にすると、4つです。



備考欄に書く場面

1

年度の途中で採用した職員

2

年度の途中で退職した職員

3

ある職員だけ、改善額が大きい

4

ある職員だけ、改善額が小さい。または改善をしていない


なぜ書くのか。通知の第6では、改善の対象者や賃金改善額が偏っている場合など、必要と認める場合には理由を徴することとされています。

裏を返すと、理由が書かれていなければ、市町村は「なぜだろう」と思います。そこで問い合わせが来て、やり取りが増えます。

連絡帳の「その他」の欄と同じだと思ってください。お迎えの時間がいつもと違う日に何も書かずに出したら、園のほうで「あれ?」となりますよね。「本日は祖母がお迎えです」と一言書いてあれば、それで済みます。

備考欄も同じです。読む人は、園の事情を知りません。「6月に入職」「3月末で退職」「区分3の対象のため改善額が大きい」。一言書いておくだけで、やり取りがぐっと減ります。




様式6の6ブロックを、順に見る

ここからは、様式6の本体に戻って、6つのブロックを順に見ていきます。


(1)加算額以上の賃金改善

やっていることはシンプルです。①加算額と、②加算による賃金改善等実績総額。この2つを並べて、②が①以上なら○です。



中身

どこから来るか

① 加算額

市町村から認定された額

—

② のうち、加算による改善実績総額

別添1の⑨と⑩の合計

別添1から自動

② のうち、事業主負担増加総額

賃金を上げたことで増えた、社会保険料の園の負担分(健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など)

—


なぜ事業主負担の増加分を足せるのか。加算額の中に、もともとこの事業主負担分も含まれているからです。ですから、加算額と比べるときには、こちらも入れて比べる。そういう考え方になっています。

この判定は、区分2と区分3で、それぞれ別に行われます。様式を見ると、○×の欄が2つ並んでいるはずです。区分2は足りているけれど、区分3が足りない、ということも起こり得ます。両方を確認してください。


(2)賃金水準を下げていないこと

ここでやっているのは、素の賃金同士の比べっこです。別添1でお話しした⑦と⑮です。①加算当年度の素の金額(⑮)が、②基準年度の素の金額(⑦)以上なら○です。

画面には、アルファベットの並んだ式がずらりと並んでいて、ぎょっとされるかもしれません。でも、ここで手入力するところは1つもありません。数字はすべて別添1から自動で引かれます。つまり、このブロックは見るだけ。○が出ているかを確認する、それだけです。

なぜこんなに細かく分けて引き算をしているのか。1つずつ見ると、意味が分かります。


引くもの

理由

加算で上げた分

加算があったから上がった分

定期昇給で上がった分

〃

国の人件費改定で上がった分

〃

前の年度の残額として払った分

〃


どれも、加算などがあったから上がった分です。これを全部外して、純粋に園の判断で決めている賃金だけを取り出す。そのうえで去年と比べれば、園が賃金水準を下げたかどうかが分かる仕組みです。

もしここが×になったら、加算とは関係のないところで賃金を下げているということになります。その場合は別の手続きが必要になりますので、市町村にご相談ください。


(3)施設独自の改善額

ここには、記述式で書く欄が2つあります。施設独自の賃金改善の具体的な取組内容と、その算定根拠です。

施設独自の改善額とは、通知の用語の定義では、加算額や人件費改定分、定期昇給分を超えて、園が独自に賃金改善を行った金額とされています。国からもらったお金の範囲を超えて、園が自分の判断で上乗せした分です。

該当しない園は、書かなくて大丈夫です。加算の範囲内でやっている園のほうが多いと思いますので、ここは空欄になることも珍しくありません。

ただ、上乗せをしている園は、ここをきちんと書いておいてください。書いておかないと、その上乗せ分が(2)の比べっこのときに誤って扱われてしまうことがあります。園として頑張った分が、かえって不利に働いてしまう。もったいないので、忘れずに書いておいてください。


(4)(5)残額が出たとき

この2つは対になっていますので、まとめて見ます。


ブロック

中身

(4)

加算当年度の前年度に支払うべき残額。

前の年度から持ち越してきた分

(5)

加算当年度の翌年度において支払うべき残額。

今回の年度から持ち越す分


書くことはどちらも同じ形です。①残額がいくらだったか、②それに対応していくら払ったか。②が①以上なら○です。

実務でとても助かるところなのですが、(5)の残額は自動で計算されます。(1)と(2)で足りなかった分が自動的に入ってくる仕組みです。自分で電卓をたたく必要はありません。

残額が出た場合にどうするのかは、通知の第5の4に定められています。翌年度内に速やかに、一時金等により支払う、というものです。

第8回でお話ししたとおり、区分3は毎月の手当か基本給で払うのが原則です。でも、この残額の支払いは一時金でかまいません。例外として認められているところでした。

そして、残額が出たこと自体は悪いことではありません。大事なのは、出た残額を翌年度にきちんと払い切ることです。


(6)他の施設への配分

同じ法人が運営している他の施設と、加算額をやり取りした場合だけ書きます。①拠出実績額が、自分の園から他の施設へ出した額です。様式の注意書きにあるとおり、この場合は別添2「同一事業者内における拠出実績額・受入実績額一覧表」もあわせて添付します。

ここは間違いやすいところです。この調整ができるのは区分2だけです。区分3は、他の施設には回せません。

以前の旧加算Ⅱでは、20%を上限に他の施設に充てることができました。FAQ No.17で、区分3ではそれができなくなったことが確認されています。以前のやり方をご存じの方ほど、うっかりしやすいところです。

1園だけを運営されている場合は、ここは関係ありません。空欄のままで大丈夫です。


FAQ No.73を読む|(1)①の加算額は「上がる前」の金額

このシリーズでは、毎回FAQの原文に当たっています。今日扱うのは、処遇改善等加算FAQ 第7版(令和8年 5月 15日時点版)のNo.73です。

前半は前提の確認です。FAQ No.10で、国家公務員の給与改定に伴う公定価格の人件費の改定分には、改定によって区分2・区分3の加算額が上がった分も含まれることが示されています。そのうえで、問いの本題はこうです。


別紙様式6の実績報告書には「(1)加算額以上の賃金改善について」において、「①加算額」と「②加算による改善等実績総額」を比較する必要がありますが、この「加算額」は、改定前の単価に基づき、算出した金額であるという理解で良いでしょうか。

先ほど見た(1)のブロック、いちばん最初に書く「①加算額」の話です。


平たく言うと

こういう場面です。年度の初めに単価があって、加算額が決まりました。ところが年度の途中で、人事院勧告に基づいて公定価格の人件費が改定され、単価が上がり、加算額もその分増えました。

さて、年度末に実績報告書を書くとき、(1)の①加算額の欄には、上がる前の金額と上がった後の金額、どちらを書けばいいのか。

ここは迷いますよね。私も最初は、素直に読めば実際にもらった額なのだから、上がった後だろうと思いました。

国の答えは、こうです。


お見込みのとおりです。

つまり、改定前の単価に基づいて算出した金額、上がる前の金額を書きます。


なぜ「上がる前」なのか

実際にもらったのは上がった後の額なのに、と思われますよね。私もそう思いました。でも、様式全体を見渡すと理由が分かります。

改定で増えた分は、消えてなくなるわけではありません。別添1の⑫「基準翌年度から加算当年度までの人件費の改定部分」で扱われます。そして⑫は、(2)の賃金水準の比べっこのほうで使われる数字でした。


ブロック

見ること

置く数字

(1)

加算額の分、ちゃんと払ったか

もともと決まっていた加算額(改定前の単価)

(2)

賃金水準を下げていないか

人件費の改定で増えた分(⑫)


1つの数字を2か所で二重に数えてしまわないように、置き場所を分けている。そういう整理です。

人事院勧告に基づく改定があった年度には、必ず確認していただきたいところです。上がった後の額を①に入れてしまうと、②のほうが足りなくなって×が出てしまいます。




差し戻されやすい3つ

これまで多くのご相談をお受けしてきて、よく出会うつまずきを3つ挙げます。



つまずき

防ぎ方

1

別添1の判定が×のまま提出した。入力を終えて、上までスクロールして戻り、保存してそのまま送ってしまう。下まで見ていない

別添1の下まで見る

2

備考欄が空欄で、偏りの理由が伝わらなかった。ある職員だけ改善額が大きい、ある職員には改善していない。書類の上では理由が分からず、市町村から問い合わせが来て、やり取りが往復する

備考欄を見直す

3

(1)①の加算額に、人件費改定後の金額を入れてしまった(FAQ No.73)

①の加算額の根拠を確かめる


3つとも、出す前の5分で防げます。提出したあとに直すのは、手間も気持ちも何倍もかかります。送信ボタンを押す前に、この3つだけ確認してみてください。




出したあとも、5年間やることがある

最後に、意外と知られていないことです。通知の第6、実績報告の最後の部分です。


処遇改善等加算の区分2及び区分3の適用を受けた施設・事業所は、賃金の改善に係る収入及び支出を明らかにした帳簿を備え、当該収入及び支出についての証拠書類を整理し、かつ、当該帳簿及び証拠書類を実績報告後5年間保管し、市町村からこの提供を求められた場合には提出をしなければならないこと。

3つのことが定められています。



すること

1

帳簿を備えておく

2

証拠書類を整理する

3

実績報告のあと5年間保管して、求められたら出す


つまり、提出して終わりではありません。

園の記録にも、保存の年限が決まっているものがありますよね。あれと同じ感覚です。提出した書類そのものだけでなく、その根拠になった賃金台帳や、振込の記録。これらを、いつ聞かれても出せる状態にしておくということです。指導監査のときに求められることもあります。

5年は長い期間です。提出が終わったら、その年度のファイルにまとめて保管しておく。それを毎年積み上げていく。この習慣をつけておかれると、あとで慌てずに済みます。




今日のまとめ


要点

1

様式6は6つのブロックでできている。(1)は加算額の分を払ったか、(2)はよそを削っていないか。この2つが柱で、どの園も必ず書く。(3)からは当てはまる園だけ。全部を埋めようとしなくて大丈夫

2

様式6に入る数字のほとんどは、別添1から自動で引かれる。本当の作業は別添1にある。職員全員を書くこと、⑨の内訳を分けて入れること、備考欄を埋めること。これを丁寧にやれば、様式6はほとんど自動でできあがる

3

別添1の下に判定が2つある。2分の1以上を毎月の側で払えているか、素の賃金が去年より下がっていないか。出す前に必ずここまでスクロールする

4

出したあとも、5年間、帳簿と証拠書類を保管する

実績報告は、1つずつ見ていけば、やっていることはそれほど複雑ではありません。どこに何を書くのか、その数字はどこから来るのか。今日の地図が、書類を開いたときのお役に立てればうれしいです。


理解のチェック


項目

□

実績報告書は、加算当年度の翌年度に、市町村へ出す

□

様式6は6つのブロックでできていて、柱は(1)と(2)

□

別添1には、賃金改善をしていない職員も含めて全員を書く

□

別添1の下にある2つの判定

(2分の1以上を毎月の側で払えているか、⑮が⑦以上か)を、出す前に見る

□

提出したあとも、5年間、帳簿と証拠書類を保管する

5つ全部にチェックが入っていれば、実績報告の全体像はばっちりです。不安な項目があれば、もう一度その該当のところを見直してみてください。




次回もFAQ第7版から

今日の実績報告は、前の回と地続きになっています。第7回で区分3の枠に誰を当てるのか、第8回でその方にいくら、どうやって払うのか。そして今回の第9回が、それをどう報告するかです。

配った結果を報告するのが、実績報告です。ですから、配り方のところがあいまいだと、報告でつまずきます。まだご覧になっていない方は、第8回とあわせてご覧いただくと、つながりが見えてくると思います。

このシリーズは全15本を予定しています。次回もFAQ第7版を手がかりに、園長先生が実務で迷いやすいところを解説します。「うちの園ではこうしたい」「ここが知りたい」ということがありましたら、動画のコメント欄やホームページのお問い合わせからお寄せください。




どこに何を書くかの先、実際の入力までは、こちらで


◆処遇改善等加算⑤ 実績報告書作成セミナー◆

何度も書き直す書類から、一度で通る書類へ。

すずらんチャイルドケアでは、処遇改善等加算について6つの講座を、毎月のライブで開催しています。今日の続きは、⑤実績報告書作成セミナーです。

今日はどこに何を書くのかという地図までをお伝えしました。セミナーでは、そこから一歩進んで、それぞれのセルに実際にどう入力するのかを詳しくご説明します。差し戻しがないように、何回もやり取りをしなくて済むように。そこを目指す講座です。


この講座で目指すこと


理解

何を入力するのかが分かる

実践

ミスなく入力できる


今日の動画でお話ししたのは、どちらかというと前半の「理解」です。セミナーでは、そこから手を動かすところまでご一緒します。

ライブ講座の良さは3つあります。

  • 講義中にチャットやご質問をいただければ、その場でお答えします

  • 今日の動画をご覧になって「うちの場合はどうなんだろう」と思われたところも、その場で聞いていただけます

  • 事前に園のご状況を伺ったうえで、そこに寄せて解説します

日程

時間

2026年 10月 6日(火)

13:10〜16:00

2026年 11月 10日(火)

13:10〜16:00

2026年 12月 8日(火)

13:10〜16:00


料金

受講料

14,300円(税込)

アーカイブ(ご希望の方のみ)

+2,200円(税込)。配信日から約1か月間ご視聴いただけます


アーカイブだけのお申込みはできませんので、ご承知おきください。





◆6講座オンデマンドパック◆

そうは言っても、日程が合わないという園長先生もいらっしゃると思います。実績報告の時期は、ただでさえお忙しいですよね。そういう方のために、6講座をオンデマンドでご覧いただけるパックもご用意しています。

いちばんの良さは、視聴期間内であれば、いつでも何度でもご覧いただけることです。書類を書きながら、必要なところだけもう一度見直す、という使い方もできます。実際、実績報告の時期に同じところを何度も見返された、というお声もいただいています。



内容

料金

6講座フルパック 55,000円(税込)。単品で6講座そろえると69,300円なので、14,300円お得

収録時間

760分(12時間40分)

視聴期限

令和9年 3月 31日まで


フルパックのほかに、単品や、「超基礎」「配分計画」「実績報告」の3講座をまとめた実務3点セットもあります。





◆伴走作成支援◆

セミナーで学んでいても、いざご自分の園の数字を前にすると、手が止まることがあります。「うちの場合、この欄はどうなるんだろう」。そういうときのために、伴走作成支援をご用意しています。



内容

実績報告書の伴走作成支援

今日のお話とそのままつながります。別添1の判定が×のまま出してしまう、という一番多いつまずきを防ぎます。園の台帳を確認するところから始めて、様式への転記、判定の確認、提出まで、隣で通知を確かめながら一緒に仕上げます。認定こども園のように入力箇所が多い園や、市町村への照会文が必要な場合も、あわせてお手伝いします

配分計画の伴走作成支援

実績報告が終わったら、次は配分計画です。すでに作ってあるものの見直しも承ります。年度の初めの配分計画をしっかりしておけば、来年度は苦労しません


先日も、提出まであと6日というところから、2園分の作成をご一緒しました。ご担当の方が非常に頑張ってくださったおかげで、6日間で提出することができました。

この2つはつながっています。4月に配分を決め、毎月確認して、3月に払い切る。ここまでやっておくと、1年後の実績報告はまるで違うものになります。今日お話しした判定も、最初から○が出る状態で年度末を迎えられます。

大切にしているのは、園が自分で作れるようになることです。こちらで代わりに全部埋めてしまえば、その年は楽かもしれません。でも、それでは毎年毎年同じことになってしまいます。ですので、来年度からはご自分で入力していただけるよう、考え方ごとお渡しします。

ご相談は無料です。一度お話を伺い、進め方をご説明したうえで、お見積もりを出させていただきます。





お問い合わせ


特定非営利活動法人 すずらんチャイルドケア

人財育成部 部長 太田 宏彰


〒250-0862 神奈川県小田原市成田475-17 ゼフィールU201

TEL 0465-87-7649




ご質問はホームページのお問い合わせフォーム、または動画のコメント欄からもお受けしています。




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