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保育DXに103億円|書類仕事の時間を、こどもと向き合う時間に

  • 1 日前
  • 読了時間: 9分

まずは解説動画をご覧ください(約15分)


▲ 保育DXと全部見える化で、園の事務はどう変わるのか


令和9年度 こども家庭庁 概算要求の深掘りシリーズ、いよいよ最終回の3本目です。

テーマは保育DXと全部見える化一言で言えば、園の事務の未来の話になります。

請求、監査、そして実績報告。書類仕事、もう正直、多すぎませんか。

毎月の請求のたびに計算表とにらめっこして、監査の前は書類の山と格闘する。その時間を、こどもと向き合う時間に変えようというのが、今回の予算の方向性です。




まず言葉の整理から|ICT導入とDXは違います

似ているようで、実は違うんですね。



意味

ICT導入

デジタルの道具を入れること

連絡アプリを導入する

DX

デジタルの力で仕事のやり方自体を変えること

紙の連絡業務そのものをなくす


DXデジタルトランスフォーメーションの略です。連絡アプリを入れるだけではなく、紙の連絡業務そのものをなくしてしまう。ここまでいくとDXになります。

そして今回の概算要求では、保育DXの推進に103億円が拡充で要求されました。

中身を見ると、道具の補助にとどまらず、請求や監査という園の仕事の流れそのものを変える段階に入っています。




保育DX103億円の全体像|3つの柱

1つ目。園へのICT導入補助。 システム導入や端末購入の費用を補助するものです。

2つ目。保育業務施設管理プラットフォーム。 これが今日の本丸です。 給付や監査などの保育業務を1つにまとめる国のシステムで、令和8年度から本格稼働しています。

3つ目。活用支援。 研修と実践を繰り返す往還の研修、専門家がICTを活用した業務改善に伴走してくれる巡回、そして相談支援が用意されています。

道具を配る、仕組みを作る、使いこなしを支える。この3点セットになっているのが、今回の保育DX予算の特徴ですね。




柱①|ICT導入補助の単価


内容

単価

業務のICT化システムの導入(1機能)

20万円

同(4機能)

80万円

端末もあわせて購入する場合

+50万円/最大130万円

こども誰でも通園制度のためのICT機器

1施設20万円

医療的ケアを受け入れる園のICT機器

20万円

翻訳機などの購入

15万円


まだICT化が進んでいない園にとっては、大きな後押しになる金額ですね。

ただし、2つ注意があります。

1つ。この補助は原則1施設限りです。

2つ。この単価は概算要求時点のもので、年末の予算編成過程で変わる可能性があります。

概算要求は要求。 シリーズを通しての合言葉、ここでも生きています。




柱②|保育業務施設管理プラットフォーム

今日の本丸です。

まずワンスオンリーという言葉のミニ解説をさせてください。

これは「一度出した情報は二度出さなくてよい」という、行政デジタル化の原則です。

園でもありますよね。入園のときに書いた情報を、進級のたびにまた1から書いてもらうのは申し訳ない。あの感覚の国家版です。

給付や監査の保育業務でこれを実現するのがこのプラットフォームで、令和8年度から本格稼働していきます。

主な機能は4つ


  1. 施設型給付費などの請求情報の入力

  2. 職員配置や公定価格の計算を自動でやってくれる給付費の自動計算・審査

  3. 監査書類の提出や通知のオンライン化

  4. 自治体の基幹システムとの連携


毎月、公定価格の計算表とにらめっこしてきた事務の先生には、夢のような話ではないでしょうか。

令和9年度は、この運用保守に12億円。そして自治体側のシステム連携の改修補助が要求されています。




園の実務はどう変わるのか|3つの場面で


場面

これまで

プラットフォームが目指す姿

請求業務

手計算と紙の提出

請求情報を入力すれば、公定価格や加算を自動計算

監査対応

紙の書類を大量に準備

オンラインでの提出・通知

自治体とのやり取り

同じ情報を何度も出す

システム間連携で二重入力を解消(ワンスオンリー)


ただし、ここで大事な注意です。

どこまで使えるかは、皆さんの自治体がこのプラットフォームにどこまで参画し、システムを連携させているかによって差があります。

ですから「うちの自治体はどうなっていますか」と確認するところが、園の第一歩になりますね。




全部見える化|国のお金が最後に誰に届いたのかが公開されます

保育DXと並ぶもう1つの改革が全部見える化です。

ポイント資料にはこうあります。


こども家庭庁の全ての予算事業について、委託・補助先を、交付先の自治体から最終先まで含めてネット上で公開する「全部見える化」を令和9年度に実現する

公開されるのは、事業名・交付先・最終支出先・支出金額。

つまり、国のお金がどこを通って、最後に誰に届いたのかが一覧で見えるようになるんです。

こども家庭庁大臣は会見で「全省庁で初めての取り組みだ」と述べていました。

SNSで「こども家庭庁の予算は何に使われているのか分からない」という声が上がる中で、「それなら全部見せます」という国の答えがこれなんですね。




見える化とセットで進む、園にとっての朗報かもしれない話

資料にはこう書かれています。


自治体の交付申請と実績報告を電子化・統一化して、入力の省力化やエラーチェック機能を導入し、事務負担を軽減する

処遇改善の実績報告、毎年大変ですよね。何枚もの様式に同じ数字を転記して、計算が合っているか何度も確認して。

国と自治体の間の流れが電子化・統一化されれば、その先にいる園の様式や提出方法にも、変化が波及していく可能性があります。

ただし正直にお伝えすると、いつ、どこまで園に届くのかは、まだ決まっていません。期待しすぎてもいけませんね。

でも見逃さず、動きが出たらこの番組で必ず解説させていただきます。




見える化の、もう1つの読み方

最終支出先まで公開されるということは——補助金を受け取る園の側も、お金の使い方を見られる時代になるということです。

「説明できる執行」が、これまで以上に大切になります。

ただ、これはピンチではなくチャンスだと私は考えています。

帳簿と証拠書類をきちんと残す。それは、監査対応がそのまま園の強みになることです。

そして「このお金はこう使って、こどもたちに還元されました」と語れる園は、保護者と職員からの信頼を確実に得ます。

日頃の透明なお金の使い方が、そのまま園のブランドになる。そういう時代の入り口に、私たちはいるんですね。




園が今できる準備|3つ


① 自治体の状況を確認する

このプラットフォームへの参画状況、そしてICT導入補助の実施予定を、担当課に聞いてみてください。

それから、11月から12月は補正予算でICT系の補助が出やすい時期です。予習編でお話しした「補正は今年度の追加」、覚えていますか。ここでも使える知識です。


② 書類とデータの電子整理

実績報告や監査書類を電子ファイルにして、フォルダを整理しておく。様式の電子化が園まで届いたとき、すぐ移行できる土台になります。


③ 園内のICT担当を決めて、学びの機会を持つ

往還研修や専門家の巡回相談といった、国の活用支援メニューにアンテナを立てていきましょう。

DXは「いつか来る話」ではなく、もう始まっている話です。小さく始めた園から、書類の時間がこどもの時間に変わっていきますよ。




シリーズ3本の総まとめ|3つの型

概算要求から、3つの型が見えてきました。


テーマ

やること

1本目

処遇改善・公定価格

待つ型

事項要求で答えは12月。率の噂に振り回されず、率が何%でも必要な準備を先に

2本目

こども性暴力防止法・新指針

動く型

予算がついて実行段階へ。12月25日の施行への準備と、新指針を迎える体制づくり

3本目

保育DX・見える化

備える型

事務の未来が変わり始めた。自治体への確認と電子整理で、変化に乗れる園に


テーマごとに考え方は違いますが、共通の合言葉は1つです。

概算要求はまだ要求段階。答え合わせは12月の予算案で。

ここまでご覧くださった皆さんは、もう年末の予算ニュースを自分の目で読める側になりましたね。




次のお約束|12月下旬に答え合わせをします

深掘りシリーズはこれで完結しますが、次のお約束をさせてください。

12月下旬に政府予算案が決まったら、決定後すぐに「答え合わせ」の速報解説をお届けします。

  • 処遇改善の率は何%になったのか

  • 0〜2歳児の保育の支援はどう決着したのか

  • ICTの補助は満額ついたのか

今日までの3本が、そのまま答え合わせの地図になります。



監査のセミナーを準備しています

もう1つ、お知らせがあります。

新しい監査システムに関するセミナーと支援を、これから行っていく予定です。準備が整いしだい、ご案内させていただきます。

すでに新しい制度で監査を進められている園もあります。この監査で何がどう変わっていって、私たちは何をやらなければいけないのか。実務も踏まえた内容でお届けします。




最後に

こども家庭庁に寄せられている声の中には、**「まったく世の中の改善になっていない」**といったものもあります。

ただ私は、会議の内容やこの予算の中身を見ていて、非常にそこに答えている内容かなと、フラットに見てそう思っております。

大事なのは、何に対して何をやっているのかが見えることだと思っておりますので、こういった動きに対して解説をさせていただきます。

園長先生や理事長先生とお話しさせていただく機会がありますが、監査であったり処遇改善であったり、実務や事務のところで非常に苦しんでいる先生方が多くいらっしゃいます。

もちろん、園を運営して支える上でとても大切な業務です。ただ一方で、もっと大事なことは——やっぱり、こどものための園ですから。こどもが生きる力を育てるために、どのような人材育成をしていくのか。こういったところが、もっと大事なところなんじゃないかなと思っております。

こどもとしっかり時間を取れる状態にするために。そして現場の先生が安心して保育に従事できるように。それを支えていくことを、どんどんやっていきたいと思っております。




令和9年度 概算要求まるごと解説セミナー

シリーズ3本で、待つテーマ・動くテーマ・備えるテーマをお話ししました。

やることは見えた。あとは自園に落とし込むだけ。その最後の後押しをする場が、このセミナーです。

100分ほどで、各項目がなぜ出てきたのかを過去に遡って解説し、後半は自園準備チェックシートを使って、処遇改善・性暴力防止法・新指針、そして今日のDX対応まで含めた「来年4月までの準備リスト」を一緒に作ります。

ライブでご参加の方は、当日その場でのご質問と、他の先生方との交流ができます。

日程(各回とも同じ内容です)


開催日

曜日

時間

9月16日

10:10〜12:00

10月15日

10:10〜12:00

11月17日

10:10〜12:00

12月15日

10:10〜12:00


オンデマンド視聴のみもお選びいただけます。




受講料

9,900円(税込)

特典

自園準備チェックシート(Excel)/30分の無料個別相談




お問い合わせ

特定非営利活動法人 すずらんチャイルドケア

人財育成部 部長 太田 宏彰


〒250-0862 神奈川県小田原市成田475-17 ゼフィールU201

TEL 0465-87-7649




ご質問はホームページのお問い合わせフォーム、または動画のコメント欄からもお受けしています。「ここが違うのでは」というご指摘も、ぜひお寄せください。





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