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こども性暴力防止法【Q&A編①】相談窓口と報告・対応ルール|園からいただいた4つのご質問に国の資料で答えます

12 分前
読了時間: 13分

まずは解説動画をご覧ください(約22分)


▲私たち すずらんチャイルドケア 人財育成部に、園の先生方から実際にいただいたご質問を、国の資料で確かめた答えとともにご紹介します。


こども性暴力防止法について、私たちのところには園の先生方から日々ご質問をいただきます。その中には、「きっと、ほかの園でも同じところで手が止まっている」と感じるものが少なくありません。そこで、実際にいただいたご質問を、国の資料で確かめた答えと一緒にご紹介していくことにしました。園のお名前などは伏せて、ご質問の中身だけをご紹介します。


第1回のテーマは、相談窓口と報告・対応ルールです。今回取り上げるご質問は、この4つです。


  1. 相談窓口は、保護者向けと職員向けの両方に作るのですか

  2. 職員向けの報告の流れは、職員にだけ伝えればよいですか

  3. 国のひな型のフローチャートが分かりにくい。結局、園の中で考えるしかないのですか

  4. いまある苦情の窓口の流れを、そのまま使ってもよいですか。対応や再発防止まで要りますか


どれも、施行を目の前にして、実際に書類を作り始めた園だからこそ出てくるご質問です。そして、答えの根拠はすべて国の資料にありました。




前提:施行時点で「ない」こと自体が法違反になる3つ

本題の前に、なぜこのテーマから始めるのか、です。

こども家庭庁の「義務事業者用 準備ガイド Ver.1.2」15ページには、施行までにやることのチェックリストについて、項目ごとの「基本的な考え方」が書かれています。その右の列に、同じ言葉が3回出てきます。


施行時点で実施済みでないこと自体が法違反にあたります。 (こども家庭庁「義務事業者用 準備ガイド Ver.1.2」15ページ)

その3つが、次のものです。


  1. 報告・対応ルールの策定・周知

  2. 相談体制の整備(相談窓口の設置・周知等)

  3. 情報管理規程の作成


今回の4問は、このうち1つ目と2つ目にかかわるご質問です。12月 25日の時点で「ない」と、それだけで法違反になる。だからこそ、ここで迷っている園が多いのです(準備ガイド Ver.1.2の全体は、こちらの記事で解説しています)。




ご質問に入る前に:そろえておきたい3つの土台


土台①「相談体制」とは:こどもが相談できる仕組み

まず、「相談体制」とは何か、です。こども性暴力防止法施行ガイドラインの136ページを見ます。ガイドラインは、こども家庭庁ホームページの「こども性暴力防止法」のページに置かれている、300ページを超える国の手引きです。

ガイドラインは、児童等が容易に相談を行うことができるようにするため、次の2つの措置を「実施しなければならない」としています。


  1. 事業者内における相談員の選任、または相談窓口の設置・周知

  2. 外部相談窓口の周知


ここで押さえておきたいのは、主語です。「児童等が」相談できるように。 つまり、法律が求める相談体制は、まず、こどもが相談できる仕組みなのです。この一点が、1つ目のご質問の答えにつながります。


土台②「報告ルール」と「対応ルール」

2つ目の土台は、「報告ルール」と「対応ルール」です。こども家庭庁の「こども性暴力防止法に関するQ&A」の基礎編5-4に書かれています。Q&Aも、ガイドラインと同じページに置かれています。

ルール

何の決まりか

中身(3つ)

報告ルール

職員が性暴力の疑いに気づいたときに、組織に報告して、必要な対応につなげるための決まり

報告方法・報告先・報告内容

対応ルール

報告を受けたあと、組織としてどう動くかの決まり

対応者・対応事項・対応手順

たとえて言うと、報告ルールは「火事に気づいた人が、誰に、どうやって知らせるか」。対応ルールは「知らせを受けた側が、誰が、何を、どの順番でやるか」。火災報知器と、消火の段取りの関係ですね。

相談窓口が「こどもや保護者の声の入口」なら、報告ルールは「職員の気づきの入口」。入口が2つあって、その先の動き方が対応ルール、という形です。


土台③ 全体の流れ:ガイドライン117ページ 図表26

3つ目の土台は、全体の流れです。ガイドライン117ページの図表26「こども性暴力防止法に基づく安全確保措置のフロー(全体像)」は、上から次の順に並んでいます。


未然防止 → 早期把握・相談 → 初期対応 → 調査 → 調査を踏まえた対応 → 再発防止策の検討・実行

今回のテーマの相談窓口と報告ルールは、上から2段目の「早期把握・相談」の段にあります。そして、そこで把握した疑いを、初期対応から一番下の「再発防止策の検討・実行」まで、どう運ぶかを決めておくのが対応ルールです。この図は、4つ目のご質問でもう一度使います。




ご質問1:相談窓口は、保護者向けと職員向けの両方に作るのですか

とても多いご質問です。「窓口」と聞くと、保護者の窓口、職員の窓口と、対象ごとに作るイメージが浮かびますよね。


答え:相談窓口は、こどもと保護者のためのもの。職員の気づきは「報告ルール」で受ける

Q&A基礎編の5-3には、「内部の相談員の選任又は相談窓口の設置・周知と、外部相談窓口の周知は、両方必要でしょうか」という問いがあり、国は「はい、両方必要です」と答えています。

ここで言う**「両方」は、保護者向けと職員向けではありません。** 園の中の窓口と、園の外の公的な窓口の両方、ということです。

さらにガイドライン137ページには、外部相談窓口の一覧を作って、こどもや保護者に周知することが「必要」とあります。そして、保護者に対しても相談しやすくする工夫をすることが「望ましい」とされています。

では、職員が何かに気づいたときはどうするのか。それは相談窓口ではなく、土台②でお話しした「報告ルール」で決めます。

場面

入口

ある日の夕方、保護者の方が担任に「最近、うちの子があの先生を嫌がるんです」と話した

相談 → 園の相談窓口・相談員につながる形にしておく

保育士が「午睡の時間、あの先生の様子が気になった」と気づいた

報告 → 報告ルールの流れに乗せる

入口は2つ、と考えると整理しやすいと思います。

なお、相談員と報告を受ける担当を同じ人にしてはいけない、という記述は国の資料にはありません。ただ、ガイドライン136ページは、複数の相談先から選べること、相談窓口の第三者性を確保することを重要としています。園長先生お一人に全部が集まる形は、できれば避けたいところです。




ご質問2:職員向けの報告の流れは、職員にだけ伝えればよいですか

報告ルールは、職員が気づいたときの決まりですから、職員にだけ周知すればよいと考えるのは自然です。私たちも、そう受け取っている園が多いと感じています。でも、実はここ、国の資料は違うことを言っています。


答え:いいえ。保護者にも、こどもにも、あらかじめ周知が必要


また、当該報告・対応ルールについては、対象業務従事者や児童等、保護者に対し、あらかじめ周知することが必要である。 (こども性暴力防止法施行ガイドライン 133ページ)

理由も、そのすぐ下に書かれています。ルールが周知されることで、こどもや保護者にとって「相談したあと、どう扱われるか」が明確になり、相談が促される、というものです。

たとえば、保護者の方が「相談したら、あの先生に筒抜けになるんじゃないか」と心配して、言い出せずにいたとします。


相談の内容は、限られた人だけで扱います。複数の職員がチームで対応します。

園からこうあらかじめお知らせしてあれば、その方は一歩を踏み出しやすくなります。報告・対応ルールの周知は、保護者の安心のためでもあるのです。

では、職員だけに向けたものはないのか。あります。同じページの続きで、ガイドラインは、事業者内部の匿名通報窓口や、職員向けの外部通報窓口の周知を「重要」としています。こちらは、職員が報告しやすくするための工夫です。

そして施行後は、毎年の点検でも見られます。ガイドライン320ページの点検項目に、「少なくとも年に1回、報告ルール・報告後の対応ルールを従事者・児童等・保護者に周知している」とあります。年に1回、保護者にも届ける。 そう覚えておいてください。




ご質問3:国のひな型のフローチャートが分かりにくい。園の中で考えるしかないのですか

こども家庭庁は、報告・対応ルールのひな型を公表しています。ただ、ひな型は保育園だけのものではなく、いろいろな事業者向けに作られているので、保育園の職員配置にそのまま当てはめると、「この箱は、うちでは誰?」となりやすいのです。


答え:半分はそのとおり。形は自由、中身の6つは必須

ひな型は、それぞれの園の実情に合わせて作るための参考です。フローチャートの形までは、国が決めているわけではありません。

ただし、残りの半分。必ず入れる中身は決まっています。 Q&A基礎編の5-4です。

ルール

必ず入れる中身(Q&A 基礎編 5-4)

報告ルール

報告方法 / 報告先 / 報告内容

対応ルール

対応者 / 対応事項 / 対応手順

料理にたとえると、器や盛りつけは園ごとでいい。でも、入れる材料は決まっている、ということです。

もう一つ、横断指針の52ページを見ます。横断指針は、教育や保育を行う事業者の性暴力防止の取組を、分野をまたいでまとめた国の指針で、これもこども家庭庁のページにあります。ここに、小規模事業者は、可能な範囲での体制整備や、外部の専門家・業界団体との連携が有効、と書かれています。そして、その例として国の取組事例集が紹介されています。

取組事例集の33〜34ページに載っているのは、スタッフ15名ほど・常勤3名という、こどものスポーツ教室の小さな団体です。少人数の団体であるため、自分たちだけで抱え込まず、日ごろから弁護士や心理ケアの専門家との関係をつくり、その助言を受けながら報告・対応のフローチャートを定めています。

職員が十数名の小規模保育園と、規模はほとんど変わりません。園の中で抱え込まず、外の力を借りて形にする。 それも、国が認めているやり方です。




ご質問4:いまある苦情の窓口の流れを使ってよいですか。対応や再発防止まで要りますか

受付の担当がいて、解決の責任者がいる。その流れを、そのまま使ってもよいのか。それとも、性暴力のためだけの対応や再発防止まで、新しく作らないといけないのか。

これも本当に多いご質問です。せっかく回っている仕組みがあるのに、もう一つ別の仕組みを作るのは大変ですよね。


答え(前半):使ってよい。骨組みとして十分に生かせる。ただし3点を足す

苦情の受付から解決までの流れは、図表26の「早期把握・相談」から「初期対応」にあたる部分の骨組みになります。

横断指針の42ページには、性暴力に特化した相談体制にすると、かえって相談の心理的なハードルが上がる場合がある、だから、いじめや悩みごとなど、ほかの相談対応と連携・統合する事例がある、と書かれています。

ただし、ふつうの苦情と違うところが3つあります。ガイドライン134ページです。


  1. 様子見をしない:おそれがある段階から重く受け止め、様子見などをすることなく対応する

  2. 一人で抱えず、複数の人のチームで対応する

  3. 責任者など対応チームの人自身に疑いがかかった場合でも、組織として機能する流れを、あらかじめ用意しておく


たとえば、解決の責任者が園長先生お一人という流れだと、「園長先生に疑いがかかったら、誰が受けるのか」という穴ができてしまいます。苦情の流れを生かすなら、この3点を書き足す。それで、性暴力にも使える流れになります。


答え(後半):再発防止は「手順と担当」を、記録は「残す」の一行を

再発防止まで必要か。ガイドライン160ページには、再発防止策は、疑いが生じた場合に、その要因を分析して検討し、実行していくものと書かれています。

ですから、再発防止策の中身を今から書いておく必要はありません。 何が起きたかが分からないうちは、書きようがないのです。いま対応ルールに入れておくのは、「最後に再発防止策を検討する」という手順と、それを誰が担うか。図表26でいう一番下の箱まで、道筋を引いておくということです。

もう一つが記録です。ガイドライン148ページには、こどもから打ち明けられた内容の記録や客観的な証拠を適切に保全すること、そして、その証拠を誰がいつ管理・閲覧したかを記録しておくことが「重要である」と書かれています。国の言葉は「重要」です。対応ルールの手順の中に、「記録を残す」「記録を見た人を残す」の一行を入れておくことをおすすめします。




Q&A編①のまとめ


  1. 相談窓口は、こどもと保護者のためのもの。 園の中の窓口と外部の公的な窓口、その両方が必要。職員の気づきは報告ルールで受ける

  2. 報告・対応ルールは、職員だけでなく、こどもと保護者にも、あらかじめ周知が必要。 施行後は年に1回

  3. フローの形は園ごとでいい。 でも、報告方法・報告先・報告内容、対応者・対応事項・対応手順の6つは必須。小さな園は、外部の専門家の力を借りるのも国が認めるやり方

  4. いまの苦情の流れは骨組みとして使える。 ただし、様子見をしない・チームで対応・責任者に疑いがかかったときの別の流れ、の3点を足す。再発防止は手順と担当を、記録は残すの一行を足す




この記事で使った国の資料

いずれも、こども家庭庁「こども性暴力防止法」のページに掲載されています。


  • こども性暴力防止法施行ガイドライン(2026年 9月改訂)117・133・134・136・137・148・160・320ページ

  • こども性暴力防止法に関するQ&A(2026年 9月 29日改訂)基礎編 5-3・5-4

  • 義務事業者用 準備ガイド Ver.1.2 15ページ

  • 横断指針(2026年 8月改訂)42・52ページ/取組事例集 33〜34ページ




動画を撮り終えて

施行が近づくと、実務でよく出るご質問が増えてきます。実際にいただいたご質問をこうしてご紹介することが、同じところで止まっている方の助けになればと思い、このシリーズを作りました。

施行まで、もう2か月を切っています。具体的にどうすればいいのか、というところが、それぞれの園で出てくると思います。このシリーズのご質問で、少しでも解決できればと考えています。

ご質問は、動画のコメント欄からどうぞ。いただいたご質問は、このシリーズで取り上げていきます。次回のその2は、情報管理と、職員が退職したときの手続きについていただいたご質問です。




「4つの答えは分かった。でも、うちの園は」と感じている園長先生へ

ここまで読んで、こう思いませんでしたか。


  • 4つの答えは分かった。でも、うちの報告・対応ルールが、この中身を満たしているか自信がない

  • 苦情の流れに3点を足す、と言われても、うちの職員配置でどう書けばいいのか

  • 保護者へのお知らせを、どんな言葉で書けばいいのか分からない

  • 12月の行事と重なって、正直、一人では回らない


資料を読めば、答えは分かります。でも、それを自分の園の言葉で書類に落とし込むのは、また別の作業です。そこで、「順番を決める」「作る」「確かめる」の3つの入口をご用意しています。




◆こども性暴力防止法 無料オンライン面談会◆

(30分・Zoom)

まずは「順番を決める」入口です。園の状況を伺いながら、その場で12月 24日までの工程表を作ります。

受ける前

受けたあと

やることは分かったが、自分の園に当てはめると何が済んで何が残っているか分からない。順番も決められない

園の「済んだこと」「残っていること」が仕分けされ、12月 24日までの順番が1枚の工程表になっている

日程:随時ご希望があれば、報告・対応ルールや情報管理規程などの書類づくりを園と一緒に進める「伴走支援」も、面談会でご紹介します。




◆こども性暴力防止法 実務対応セミナー◆(3時間)

「作る」入口です。まだ書類ができていない園に。対応準備シートに書き込みながら、10の項目をゼロから作ります。

受ける前

受けたあと

ひな型を開いたまま、自園の役職名に置きかえられない。不適切な行為の範囲も、規程の3択も決めきれていない

不適切な行為の範囲・規程の3択・報告・対応ルールが、対応準備シートの上に自園の言葉で書き上がっている

日程:2026年 11月 13日(金)/2026年 12月 3日(木)13:10〜16:00

Zoomライブ/オンデマンド受講も可。

同じ日の夕方の総点検セミナーと続けて受講できます。




◆施行直前 総点検セミナー◆(2時間)

「確かめる」入口です。一通りできている園に。副題は「12月 25日までに『抜け』をなくす」。

受ける前

受けたあと

一通り作ったが、最新の版か・抜けがないか分からない。監査で何を見られるかも分からない

国の監査の物差しに沿った点検票で「済」「残り」が一覧になり、監査で見られる場所が分かっている

日程:2026年 11月 13日(金)/2026年 12月 3日(木)17:00〜19:00

Zoomライブ/オンデマンド受講も可。お申し込みフォームは実務対応セミナーと共通です。


このほか、こども誰でも通園制度、カスタマーハラスメント対策、人事評価、園のInstagramなどのセミナーも行っています。詳しくはホームページをご覧ください。




お問い合わせ


特定非営利活動法人 すずらんチャイルドケア

人財育成部 部長 太田 宏彰


〒250-0862 神奈川県小田原市成田475-17 ゼフィールU201

TEL 0465-87-7649




ご質問はホームページのお問い合わせフォーム、または動画のコメント欄からもお受けしています。

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