top of page

こども性暴力防止法【Q&A編③】保護者への周知と職員研修|園からいただいた2つのご質問に国の資料で答えます

11 分前
読了時間: 11分

まずは解説動画をご覧ください(約19分)


▲私たち すずらんチャイルドケア 人財育成部に、園の先生方から実際にいただいたご質問を、国の資料で確かめた答えとともにご紹介します。


こども性暴力防止法について、園の先生方から実際にいただいたご質問を、国の資料で確かめた答えと一緒にご紹介するシリーズの3回目です。園のお名前などは伏せて、ご質問の中身だけをお届けします(これまでの回は、Q&A編① 相談窓口と報告・対応ルール、Q&A編② 情報管理と退職時の手続きで解説しています)。




今回のテーマ:保護者への周知と職員研修

今回取り上げるご質問は、この2つです。


  1. 園で定めた「不適切な行為」は、すべて保護者に周知しなければいけないのですか

  2. 職員研修は、国の標準動画を見せるだけでよいのですか


どちらも、施行が近づく中で「最低限、どこまでやればよいのか」を見きわめたい園からのご質問です。答えの根拠は、すべて国の資料です。




ご質問に入る前に:そろえておきたい3つの土台


土台①「不適切な行為」とは:性暴力の「手前」の物差し

こども家庭庁の「義務事業者用 準備ガイド Ver.1.2」3ページには、「不適切な行為」の例として、次のものが挙げられています。準備ガイドは、こども家庭庁ホームページの「こども性暴力防止法」のページに置かれています。


  • こどもとSNS上で私的なやり取りを行う

  • 私的な端末で、こどもの写真を業務外の目的で撮影する

  • こどもと二人きりで私的に会う

  • 不必要な身体接触(おむつの中に手を入れて排せつを確認するなど)を行う

  • 特定のこどもばかり理由なく担当しようとする


そして、同じページにはこうあります。


教育・保育などの場において性暴力を防止していくためには、性暴力には該当しないが、業務上必要な行為と言えず、継続・発展することにより性暴力につながる可能性がある行為を、「不適切な行為」として定め、「不適切な行為」の段階で、皆で注意し、防止していくことが重要です。 (こども家庭庁「義務事業者用 準備ガイド Ver.1.2」3ページ)

たとえて言うと、火事そのものではなく、コンセントのほこりの段階で気づいて掃除をする。そのための物差しが「不適切な行為」です。


土台② 職員研修は「座学+演習」

2つ目は、職員研修の決まりです。準備ガイド Ver.1.2の10ページによると、こども性暴力防止法では、対象となるすべての従事者に研修を受けさせることが、事業者に義務づけられています。そして研修は、決められた研修事項を含み、座学と演習を組み合わせたものである必要があります。

部分

中身

座学

聞いて学ぶ部分。国の研修事項(こどもの権利、不適切な行為の範囲、早期発見、相談への対応など)を含む

演習

事例を考えたり話し合ったりして、自分ごとにする部分

国は、標準となる研修の教材を作って公表しています。2つ目のご質問は、この教材の使い方の話です。


土台③ 今日の2つの「重み」

3つ目は、今日の2つが、施行までの準備の中でどのくらいの重みなのか、です。準備ガイド Ver.1.2の15ページ、チェックリストの「基本的な考え方」を見ます。

項目

準備ガイド15ページの書き方

不適切な行為の範囲の検討・確定

施行時点で実施済みでない場合、施行後支障が生じることが想定される。範囲が明確でないと、防止措置を行うべきかの判断が難しくなる

従事者向け研修の計画策定・実施

施行後直ちに支障が生じることが想定される。施行の時点でこどもに接する業務をしている職員には、原則として施行前に研修を受けさせる必要がある

つまり、今働いている職員の研修は、12月 24日までが原則です。ここは日付のある話です。




ご質問1:園で定めた「不適切な行為」は、すべて保護者に周知しなければいけないのですか

就業規則に入れた一覧を見ると、細かい項目がずらりと並んでいますよね。これを全部、保護者に見せるのかと思うと、ためらう気持ちはよく分かります。


答え:周知は必要です。「代表的なものだけでよい」という記述は、国の資料にはありません

こども家庭庁の「こども性暴力防止法に関するQ&A」基礎編2-8の最後の段落です。


なお、「不適切な行為」を定めた場合には、対象業務従事者や児童等、保護者等に周知を行うことが必要です。 (こども性暴力防止法に関するQ&A 基礎編2-8)

そして、こども性暴力防止法施行ガイドラインの23ページです。


加えて、対象業務従事者だけでなく、児童等及び保護者に対しても、各対象事業者が定めた「不適切な行為」について十分に周知徹底を行い、理解を得て業務を行うことが必要である (こども性暴力防止法施行ガイドライン 23ページ)

国の言葉は「十分に周知徹底」です。ですから、主なものだけお知らせして、あとは伏せておく、という考え方は、国の資料からは出てきません。


答え(続き):保護者の言葉に直して、全部をお示しする(当法人の案)

では、どう伝えるか。ここからは私たちの案です。

就業規則の一覧を、そのまま配る必要はありません。保護者が読める言葉に直したお知らせで、全部をお示しするのはいかがでしょうか。

就業規則の言葉

保護者向けの言葉(例)

私的な端末で児童を撮影すること

先生が自分のスマートフォンで、お子さんの写真を撮ることはありません

児童と私的に連絡を取ること

先生がお子さんと、個人的にSNSなどでやり取りすることはありません

こう書けば、保護者にとっては、むしろ安心材料になります。

もう一つ、保育園ならではの点があります。ガイドライン23ページの「イ」には、未就学児童等との信頼関係を築くための触れ合いのように、身体接触を伴う行為を業務上行う必要がある場合には、児童等・保護者に対して、あらかじめ事業者内で「不適切な行為」として定めている範囲を説明し、共通認識を形成しておくこと、と書かれています。

抱っこ、おむつ替え、着替えの手伝い。保育には、身体接触が欠かせませんよね。「園では、こういう場面で、こういうやり方で触れます」と先に伝えておくことは、職員を守ることにもつながります。

なお、お知らせにどこまで細かく載せれば足りるのかは、国の資料では決まっていません。ここは、所管の自治体にもご確認ください。




ご質問2:職員研修は、国の標準動画を見せるだけでよいのですか

12月の忙しい時期に、全員を集めて研修をするのは大変です。動画で済むなら、それに越したことはない。正直な気持ちだと思います。


答え:はい。国の動画で要件は満たせます

準備ガイド Ver.1.2の11ページには、研修は座学と演習を組み合わせて行う必要があり、可能な限り集団での演習を行い、対話等を通じて気づきや考えを深めることが重要だとしたうえで、こう書かれています。


標準動画及び要点動画には、演習用の課題・内容を含むため、動画視聴を通じた個人単位の演習とすることも可能です。 (こども家庭庁「義務事業者用 準備ガイド Ver.1.2」11ページ)

つまり、動画を見て、動画の中の課題に一人で取り組めば、座学と演習の両方になるということです。


ただし、動画の選び方に注意:「17分で全員」は国の考え方と違う

同じ11ページの表で、国の動画は2種類に分かれています。

動画

位置づけ(準備ガイド11ページ)

標準動画(約90分)

法律に基づく研修として、対象業務への従事者に、原則としてこちらを受けさせる

要点動画(約17分)

不定期・短期間で従事する者など、標準研修の受講がすぐには難しい人のためのもの

たとえば、常勤の先生は標準動画。月に数回だけ入る短時間の先生は要点動画。そういう使い分けです。17分のほうで全員、というのは、国の資料の考え方とは異なります。


答え(続き):押さえておきたい2つ。時期と、すでに受けた研修

1つ目は、時期です。土台③の15ページのとおり、今働いている職員は、原則として施行前、つまり12月 24日までに受けてもらう必要があります。

2つ目は、11ページの注意書きです。


教員性暴力等防止法及び「保育士による児童生徒性暴力等の防止等に関する基本的な指針」等に基づき既に研修を受講させている場合、当該研修と重複する内容については、同様の研修を受講させる必要はありません。なお、こども性暴力防止法の概要や、こども性暴力防止法が独自に求める内容(犯罪事実確認等)に関する研修は追加で受講する必要があります。要点研修(17分)を活用することもご検討ください。 (こども家庭庁「義務事業者用 準備ガイド Ver.1.2」11ページ)

国の動画で、要件は満たせます。そのうえで、国は「可能な限り集団での演習を」とも言っています。抱っこや午睡、着替えといった保育の場面で、職員どうしで話し合う研修をしたい園のために、私たちも、保育の場面に合わせた従事者研修をご用意しています。気になる方は、無料の面談会のときにお尋ねください。




Q&A編③のまとめ


  1. 「不適切な行為」は、保護者への周知が必要。 国の言葉は「十分に周知徹底」で、代表的なものだけでよいという記述はない。就業規則の言葉を保護者が読める言葉に直して、全部をお示しする。身体接触の場面は、先に説明して共通の認識をつくっておく

  2. 職員研修は、国の標準動画で要件を満たせる。 原則は標準動画(約90分)。要点動画(約17分)は短時間で働く人など。今働いている職員は、12月 24日までが原則




この記事で使った国の資料

いずれも、こども家庭庁「こども性暴力防止法」のページに掲載されています。


  • こども性暴力防止法施行ガイドライン(2026年 9月改訂)23ページ

  • こども性暴力防止法に関するQ&A(2026年 9月 29日改訂)基礎編 2-8

  • 義務事業者用 準備ガイド Ver.1.2 3・10・11・15ページ




動画を撮り終えて

「実際にいただいたご質問から」は、その1の相談窓口と報告・対応ルール、その2の情報管理と退職時の手続き、そして今回の保護者への周知と職員研修で、施行前の園が手を止めやすいところを一通り取り上げました。シリーズはここでひと区切りです。園の先生方とのやり取りの中で、「これは皆さんにも共有したほうがよい」と思うご質問をいただいたら、また取り上げていきます。

あわせて、そもそもなぜこの法律があるのか、なぜ今の形になったのかをひもとく「こども性暴力防止法の歴史」シリーズも公開しています(第1回の記事はこちら)。今やっていることが、なぜこの形になっているのかを知っておくと、職員や保護者に伝えるときの言葉に厚みが出ます。

ご質問は、動画のコメント欄からどうぞ。




「2つの答えは分かった。でも、うちの園は」と感じている園長先生へ

ここまで読んで、こう思いませんでしたか。


  • 保護者へのお知らせを、どんな言葉で書けば角が立たないのか分からない

  • 研修を12月 24日までに全員に受けてもらう段取りが、まだ組めていない

  • 不適切な行為の範囲そのものが、まだ決めきれていない

  • 12月の行事と重なって、正直、一人では回らない


資料を読めば、答えは分かります。でも、それを自分の園の言葉で書類に落とし込むのは、また別の作業です。そこで、「順番を決める」「作る」「確かめる」の3つの入口をご用意しています。




◆こども性暴力防止法 無料オンライン面談会◆

(30分・Zoom)

まずは「順番を決める」入口です。園の状況を伺いながら、その場で12月 24日までの工程表を作ります。

受ける前

受けたあと

やることは分かったが、自分の園に当てはめると何が済んで何が残っているか分からない。順番も決められない

園の「済んだこと」「残っていること」が仕分けされ、12月 24日までの順番が1枚の工程表になっている

日程:随時ご希望があれば、保護者へのお知らせや報告・対応ルールなどの書類づくりを園と一緒に進める「伴走支援」も、面談会でご紹介します。




◆こども性暴力防止法 実務対応セミナー◆(3時間)

「作る」入口です。まだ書類ができていない園に。対応準備シートに書き込みながら、10の項目をゼロから作ります。

受ける前

受けたあと

ひな型を開いたまま、自園の役職名に置きかえられない。不適切な行為の範囲も、規程の3択も決めきれていない

不適切な行為の範囲・規程の3択・報告・対応ルールが、対応準備シートの上に自園の言葉で書き上がっている

日程:2026年 11月 13日(金)/2026年 12月 3日(木)13:10〜16:00

Zoomライブ/オンデマンド受講も可。

同じ日の夕方の総点検セミナーと続けて受講できます。




◆施行直前 総点検セミナー◆(2時間)

「確かめる」入口です。一通りできている園に。副題は「12月 25日までに『抜け』をなくす」。

受ける前

受けたあと

一通り作ったが、最新の版か・抜けがないか分からない。監査で何を見られるかも分からない

国の監査の物差しに沿った点検票で「済」「残り」が一覧になり、監査で見られる場所が分かっている

日程:2026年 11月 13日(金)/2026年 12月 3日(木)17:00〜19:00

Zoomライブ/オンデマンド受講も可。お申し込みフォームは実務対応セミナーと共通です。


このほか、こども誰でも通園制度、カスタマーハラスメント対策、人事評価、園のInstagramなどのセミナーも行っています。詳しくはホームページをご覧ください。




お問い合わせ


特定非営利活動法人 すずらんチャイルドケア

人財育成部 部長 太田 宏彰


〒250-0862 神奈川県小田原市成田475-17 ゼフィールU201

TEL 0465-87-7649




ご質問はホームページのお問い合わせフォーム、または動画のコメント欄からもお受けしています。

コメント


bottom of page