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こども性暴力防止法 新着資料解説【2026年9月・第1回】研修はいつまでに・誰に・何回?

55 分前
読了時間: 13分

まずは解説動画をご覧ください(約21分)


▲ 研修は、10個の準備のなかでいちばん多くの職員が関わる作業です。国の資料の実物で、5つの問いに順番に答えます。

※この記事は、こども家庭庁の施行ガイドライン(2026年9月2日改定)とQ&A(2026年9月18日改定)に基づいています。


こども性暴力防止法の施行まで、あと3か月になりました。

9月2日のガイドライン改定と、9月18日のQ&A改定で、園から質問の多かった「研修」のところがまとまってはっきりしました。

研修は、国の準備ガイドにある10個の準備項目のなかで、いちばん多くの職員が関わる作業です。全職員に関わるからこそ、園長先生の頭の中が整理されていないと、現場が混乱しかねません。

この記事では、次の5つの問いに順番に答えていきます。



問い

1

いつまでに受けさせるのか

2

誰に受けさせるのか

3

何回受けさせるのか

4

どうやって受けさせるのか

5

受けたことを、どう残すのか


この5つに答えられれば、園の研修計画は立ちます。逆に言えば、園から届く研修の質問は、ほぼこの5つのどれかです。

答えは、ガイドラインの121〜125ページと、Q&A応用編の5-7にまとまって書かれています。




研修は10個のうちの「3-③」|園の義務です

まず、研修が全体のどこにあるのかを確認しておきます。

前回のダイジェストでご紹介した国の準備ガイドのチェックリストでは、研修は「3-③ 従事者向け研修の計画策定・実施」です。10個のうちの1つです。

根拠は法律の第8条です。対象事業者は、こどもと接する業務の従事者に研修を「受けさせなければならない」と書かれています。

つまり、研修は職員の努力ではなく、園の義務です。

食物アレルギー対応の研修と似ています。受けたい人が受けるのではなく、園が全員に受けさせる。責任を持つのは園です。




問1 いつまでに|今いる先生は12月25日、内定者は働き始めるまで

ガイドライン124ページの「受講時期」の部分です。

もともとは「原則として、こどもに接する業務に従事する前に受講させる」「施行の際に現に従事している人は、原則として施行前に」と書かれていました。

9月2日の改定で、ここに一文が足されました。施行日の前日までに従事させることを決めていた人で、施行日のあとに働き始める人は、働き始めるまでに受講させればよい、という内容です。

整理すると、こうなります。


職員の立場

いつまでに受講するか

今いる先生

12月25日の施行日まで

内定している人

働き始めるまで


「働き始めるまで」の感覚は、救命講習と同じです。新しい先生が保育室に入る前に、AEDの使い方を一度は教えますよね。それと同じで、こどもに接する前に一度受けておく。順番は、研修が先、保育室が後です。

なお、12月25日は金曜日です。年末の忙しい時期と重なりますから、今いる先生の分は11月中に終える計画をおすすめします。これはあくまで私の助言で、国の期限は12月25日です。




問2 誰に|パートも派遣も対象です

対象は「児童等に接する業務に従事する者」です。犯罪事実確認の対象と同じ考え方をします。


職種

扱い

保育士・幼稚園教諭・保育補助

職務として一律に対象

看護師・調理員・事務職・バスの運転手

業務の実態で判断する


実態で判断するときの物差しは、「支配性」「継続性」「閉鎖性」の3つです。これは第2回で詳しく扱います。

ここでは、迷いやすい3つのケースに答えておきます。


ケース

答え

パートの先生

対象です。勤務時間の長い・短いは関係ありません

派遣・委託で来ている先生

受けさせる義務は園にあります。園が自分で研修をしなくてもよいが、受講したことは園が確認します(国の全国説明会資料に明記)

育休中の先生

国の文章が2通りに読めます(下記)


育休中の先生は、「施行の時に現に従事している人」と読めば施行前まで、「働き始める前」と読めば復職前まで、となります。

私の整理は、復職前までには必ず。可能であれば施行前に、です。

どちらの読み方をとるにしても、育休中の先生に研修の案内を届ける手段を、今のうちに確保しておいてください。ダイジェストでお伝えしたメールアドレスの話と、ここでつながります。




問3 何回|園の管理のもとで1回受けていれば、義務は足ります

9月18日のQ&A改定で、ここが一気に楽になりました。Q&A応用編の5-7-2から5-7-5です。


Q&A

場面

答え

応用編5-7-2

同じ法人で複数の園を運営している

園ごとに研修する必要はなく、法人でまとめて1回でよい

応用編5-7-3

2つの事業者で働いている(例:自園と別法人の学童を掛け持ち)

片方で受けた研修を、もう片方でも受講したと位置づけてよい

応用編5-7-4

一度受けた先生が任期を終え、また同じ園で働く

受け直しは不要

応用編5-7-5

合併や事業譲渡で、園が別法人に移った

受け直しは不要


5-7-3には注意書きがあります。犯罪事実確認は引き継げないので、それぞれの事業者で行う、というものです。

研修は共有できるが、犯罪事実確認は共有できない。 ここは分けて覚えておいてください。




義務は1回。でも、国は「定期的に」と書いています

ここで止めてはいけません。同じQ&Aの各問への答えの末尾に、毎回同じ一文がついています。ガイドライン124ページの下のほうにも書かれています。

研修は1回限りにするのではなく、定期的に受講させることや、日常的な取り組みの中に組み込むことが望ましい、という一文です。理由は3つ挙げられています。


定期的に受けることが望ましい理由

自分ごととして行動できるようにするには、定期的な研修で意識を定着させる必要がある

園のルール(たとえば「不適切な行為」の範囲)を更新したら、知識も更新が必要になる

死角になりやすい場所や、判断に迷う事例を、日々のミーティングで振り返ることが大切


避難訓練と同じです。一度やったから、もうやらないという園はありませんよね。



内容

法律の義務

業務につく前に1回

望ましい姿

毎年、園の実情に合わせて


義務と望ましさ、この2段階で覚えておいてください。園の研修計画に「初回」と「定期」の2行を作っておくと、監査でも説明しやすくなります。




問4 どうやって|8つの研修事項を、座学と演習で

研修には、必ず含める内容が決まっています。ガイドライン122ページの「研修事項」で、アからクまでの8つです。



研修事項

性暴力等の防止に関する基礎的事項(性暴力等が生じる要因、こどもの権利、法の概要など)

性暴力等と「不適切な行為」の範囲

性暴力等と「不適切な行為」の疑いの早期発見

相談、報告等を踏まえた対応

被害を受けたこどもの保護・支援

犯罪事実確認において従事者に求められる対応

防止措置の基礎的事項

厳格な情報管理の必要性


※「児童対象性暴力等」は「性暴力等」と略して書いています。

この8つを、座学と演習を組み合わせて行います。方法は3つあります。献立にたとえると分かりやすくなります。


方法

中身

献立にたとえると

標準研修

こども家庭庁の標準動画6本

国が作った標準の献立を、そのまま出す

要点研修

標準研修の短縮版。不定期・短期間で働く人だけに認められている

標準の献立の軽食版

独自研修

園や業界団体が自分で作る研修。8つをすべて含むことが条件

自分で作る献立。ただし8つの栄養素を全部入れる


ガイドラインは「原則として標準研修を受講すること」としています。ですから、迷ったら国の標準動画です。

独自研修を使うなら、8つをすべて含んでいるかどうかを、園が確認する責任があります。ちなみに、当法人の従事者研修(保育特化版)も独自研修の位置づけで、8つの研修事項を座学6本に割り付けています。


国の演習資料には「保護者から」「同僚から」がありません

演習について、もう一歩踏み込みます。ガイドラインは、演習に必ず含める内容を2つ指定しています。

1つは、不適切な行為の具体的な内容を理解させること。もう1つは、疑いが生じたときに取るべき行動をシミュレーションすることです。

この2つ目には括弧書きがあり、「こども・保護者から相談を受けたとき」「他の従事者から相談を受けたとき」と書かれています。

ところが、9月15日に更新された国の従事者向け演習資料(89ページ)を見ると、相談を受けた場面の設問は3つです。


国の演習資料の設問

こどもから相談を受けた

別のこどもから相談を受けた

自分が見かけた


ガイドラインが求めている「保護者から」と「同僚から」の設問が、国の演習資料には入っていません。 9月の更新でも、ここは変わりませんでした。

保育では、この2つがいちばん起こりやすい場面です。0歳・1歳の子は、自分で相談することができません。相談の入口は保護者です。複数担任の保育室では、同僚から「ちょっと気になるんだけど」と言われることもあります。

国の演習資料を使う園は、「保護者から」と「同僚から」の場面を、園で1つずつ足してください。難しく考えなくて大丈夫です。たとえば、こんな問いで1問になります。


お迎えのとき、お母さんから「先生に体を触られたと、うちの子が言っています」と言われました。あなたはどうしますか?



園長先生に必ず知ってほしいこと|研修時間は労働時間です

5つ目の問いに入る前に、園長先生に必ず知っておいていただきたいことがあります。

国の全国説明会の資料で、「絶対に知っておいていただきたいこと」として挙げられている項目のひとつです。研修は事業者が従事者に必ず受講させるものなので、研修時間は労働時間に含まれると、国が明記しています。

ですから、非常勤の先生が自宅でオンデマンド動画を見る時間も、勤務時間です。「空いた時間に見ておいてね」で済ませようとすると、あとで労務の問題になります。

現実的な対応は2つです。


対応

中身

シフトに組み込む

勤務時間の中に研修の時間をとる

自宅での視聴を認める

視聴した時間を、勤務時間として申告してもらう仕組みを作る


どちらにするかは園の判断です。ただ、「労働時間ではない」という選択肢はありません。

同じ資料には、先ほどの派遣・委託の先生の扱いも書かれています。受講させる義務は園にあり、園が自分で研修をしなくてもよいが、受講したことは確認する。問2の答えの根拠は、ここにあります。




問5 どう残すか|定期報告のチェックには根拠がいります

施行後、園は年に1回、こども家庭庁に定期報告を出します。ガイドライン320ページの図表110「こども家庭庁への定期報告事項一覧」に、その項目が並んでいます。

研修の欄には、こう書かれています。


対象従事者に対して、法で求める研修(座学・演習)を受講させている。

これにチェックをつけて報告する形です。9月2日の改定で「座学・演習」という言葉が入り、より具体的になりました。

チェックをつけるからには、根拠がいります。誰が、いつ、何を受けたのか。

ここで使えるのが、国の研修の手引きについている2つの様式です。


様式

番号

形式

研修実施計画書(従事者向け研修)

別紙様式1-1

Excel

研修受講管理表

別紙様式2

Excel


どちらも、こども家庭庁のページから取れます。この手引きと様式は、4月15日から変わっていません。

記録の残し方は、園の健康診断の受診記録と同じ考え方です。誰が受けて、誰がまだかが、一覧で分かる状態にしておく。定期報告のときも、指導監査のときも、その一覧を見せれば済みます。




今日やることは1つ|職員一覧に研修の列を足す

今日やることは、1つだけです。園の職員一覧に、研修の列を足してください。

足す列は3つです。


足す列

書くこと

受講の状況

受講済み/未受講

期限

いつまでに受けるか

受講日

座学と演習、それぞれの受講日


期限の欄は、職員の立場によって次のように入ります。


職員の立場

期限

今いる先生

12月25日

内定者

入職日

育休中の先生

復職日(可能なら12月25日)

パート・派遣の先生

同じ一覧に載せ、立場に応じて記入


この一覧が、そのまま研修実施計画書のもとになり、研修受講管理表のもとになり、定期報告の根拠になります。1つの表が3つの役目を果たす。だから、最初にこれを作ることをおすすめします。

「うちは職員が50人いるから大変」と思われた方もいるかもしれません。50人でも、3列を足すだけなら、事務の方が半日で終わります。中身を埋めていくのは、これからです。




今日の要点


問い

答え

いつまでに

今いる先生は12月25日まで。内定者は働き始めるまで

誰に

こどもと接する業務の全員。パートも派遣も。育休中の先生は復職前までに必ず

何回

園の管理のもとで1回受けていれば義務は足りる。法人でまとめて1回でもよい。ただし定期的な受講が望ましい

どうやって

8つの研修事項を座学と演習で。原則は国の標準動画。演習には「保護者から」「同僚から」を園で足す。研修時間は労働時間

どう残す

職員一覧に3列。定期報告と監査の根拠になる




研修を「受けるための研修」にしないために

ここからは、動画の収録を終えたあとにお話ししたことです。

この秋から、研修を実施する園がとても多くなると思います。もう終えた園もあるでしょう。それでも今一度、この従事者研修は何のためにあるのか、研修で何をしていかなければならないのかを、確認しておいていただきたいのです。

演習でいちばん大事なのは、相談の場面の練習だけではありません。その前の段階があります。

園の中で、不適切な行為が起きやすいのはどんな場所なのか。支配性・継続性・閉鎖性がそろってしまうのは、どんな場面なのか。それを職員で出し合い、信号の色で分けていくことです。


意味

してよい

条件つきでならよい

してはいけない


とくに話し合ってほしいのは、黄色です。「この場面は閉鎖性・支配性・継続性が出てしまうね。じゃあ、そのときはこうすることをはっきり決めて、全員に知らせよう」。どんな条件ならよいのかを、園内研修の中で決めていきます。

そして、そこで決まったことを服務規律にしたり、就業規則にしたりする。これが本来の流れです。


研修を受けるための研修になってしまってはいけません。何のためにやっているのか、その目的をふまえて実施していただきたいと思います。

12月25日まで、あと3か月です。はじめての年ですから、分からないところもいくつかあると思います。こうした解説動画で、できるだけかみ砕いてお伝えしていきます。分からないところがあれば、メールやお問い合わせフォームからご連絡ください。お力になります。




次回は「犯罪事実確認、誰が施行時現職者なのか」

次回の第2回は、犯罪事実確認です。今回「第2回で詳しく」とお伝えした、支配性・継続性・閉鎖性による対象者の判断もあわせて扱います。

各論の一覧は、ダイジェスト記事にまとめています。目次代わりにお使いください。

出典は、すべてこども家庭庁の資料です。動画の概要欄に、ページ番号つきで載せています。


  • こども家庭庁「こども性暴力防止法」ページ https://www.cfa.go.jp/policies/child-safety/efforts/koseibouhou

  • 施行ガイドライン(2026年9月2日改定)P121〜125、P320(図表110)

  • こども性暴力防止法に関するQ&A(2026年9月18日改定)応用編5-7

  • 従事者向け演習資料(2026年9月15日版)P89

  • 令和8年度 全国説明会資料




自園の職員に受けさせるところは、こちらで

この記事でお伝えしたのは、研修について国が決めていることまでです。自園の職員に実際に受けさせるところは、2つの場をご用意しています。





◆こども性暴力防止法 実務対応セミナー◆

園長・主任・事務担当の方向けの、Zoomで3時間のセミナーです。国の準備ガイドの10個の作業を、対応準備シートに書き込みながら自園の形にしていきます。


日程

時間

10月14日(水)

14:10〜17:00

11月13日(金)

13:10〜16:00

12月3日(木)

13:10〜16:00

当日ご参加が難しい方は、アーカイブ視聴(+2,200円)もご利用いただけます。配信日から翌月末までご覧いただけます。





◆従事者研修(保育特化版)◆

全職員向けの研修です。オンデマンドの座学6本(約92分)と演習で構成しています。

ガイドラインの8つの研修事項を、保育の言葉に置き換えて座学6本に割り付けています。演習は、この記事でお伝えした国の演習資料にない「保護者から」「同僚から」の場面を含めた4場面です。

常勤の先生は園内研修1回、非常勤の先生はオンデマンドだけで修了でき、受講記録も出せます。料金は園ごとの職員数による区分制で、10名までの園は税別40,000円からです。





お問い合わせ


特定非営利活動法人 すずらんチャイルドケア

人財育成部 部長 太田 宏彰


〒250-0862 神奈川県小田原市成田475-17 ゼフィールU201

TEL 0465-87-7649




ご質問はホームページのお問い合わせフォーム、または動画のコメント欄からもお受けしています。「ここが違うのでは」というご指摘も、ぜひお寄せください。


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