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保育園の倒産・休廃業が3年連続で最多へ|三重苦すべてに国の予算が動き始めた

24 分前
読了時間: 11分

まずは解説動画をご覧ください(約18分)


▲ 帝国データバンクの倒産データと、こども家庭庁の令和9年度概算要求を並べて読み解きます。


少し重いニュースから始めます。

2026年9月、帝国データバンクが「保育園の倒産・休廃業が3年連続で最多を更新する見通し」と公表しました。すでにご存じの方も多いかもしれません。

今年はまだ8月までの集計ですが、それでもすでに36の園が市場から消えています。

ただ、この記事でお伝えしたいのは、怖がらせる話ではありません。倒産の原因とされる「3つの苦しさ」。実はそのすべてに、いま国の予算が動き始めています。データと国の一次資料を、順番に見ていきます。




2026年は8か月で36件。すでに過去最多のペースです

データの出どころは、帝国データバンクが2026年 9月 4日に公表した調査です。倒産と休廃業・解散を合わせた件数は、次のように推移しています。


年

倒産・休廃業・解散の件数


2024年

31件


2025年

46件

年間で過去最多

2026年(1〜8月)

36件

同じ期間で比べて過去最多

※帝国データバンク「『保育園』の倒産・休廃業解散動向(2026年1-8月)」(2026年 9月 4日公表)・同(2025年)より


2026年は、まだ8か月分の集計です。年末まで4か月を残して、すでに同じ期間の過去最多です。このままいけば、3年連続で最多を更新する見通しです。

内訳も見てみます。


  • 休廃業・解散:30件(前年の同じ時期の1.5倍)

  • 倒産:6件


裁判所を通す倒産よりも、静かに市場から退出している園のほうが、ずっと多いということです。

なお、ここでの「倒産」は、負債1,000万円以上の法的整理を指しています。




原因は「三重苦」

では、なぜ園が続けられなくなるのか。帝国データバンクは、その原因を「三重苦」と表現しています。


1つ目 園児獲得競争の激化

少子化で子どもが減る一方、施設の数は足りてきました。だから、選ばれる園と選ばれない園が分かれ始めています。


2つ目 保育士不足

採用難や退職で配置基準を満たせず、本当は定員まで預かれるのに、自分から定員を縮めたり、預かりを制限したりして収入が減ってしまう。

人がいないことが、そのまま収入減につながる。保育ならではの、つらい構造です。


3つ目 運営コストの上昇

物価高と人件費の上昇が、園の支出を押し上げています。


7割超が地方の園です

もう1つ、見ておきたい数字があります。今年の倒産・休廃業は、地方が7割超を占めています。10年前の2016年は47.1%と5割を切っていましたから、大きな変化です。

首都圏の話ではありません。むしろ地方の園にこそ迫っている話なんですね。

ここまで読んで、ため息が出た方もいらっしゃるかもしれません。でも、ここからが本題です。




三重苦のすべてに、国の予算が動き始めています

園児獲得競争、保育士不足、コスト上昇。この3つのすべてに、いま国の予算が動き始めているのをご存じでしょうか。

種明かしに使うのは、2026年 8月 31日に公表された、こども家庭庁の令和9年度(2027年4月から始まる年度)の概算要求です。国が財務省に出した「来年度はこれだけ必要です」という要求書のことです。

(概算要求が何か、予算がどういう順番で決まるのかは、こども家庭庁の予算はいつ・どうやって決まるのかで詳しく解説しています。概算要求全体の速報はこちらの記事です)

動画で投影しているのは、「令和9年度予算概算要求のポイント」の2ページ目の実物です。こども家庭庁のホームページの予算・決算のページで、どなたでも見ることができます。

細かい字まで読む必要はありません。注目していただきたいのは2か所だけです。


  • 右上の「保育の質の向上等」というかたまり

  • 左の真ん中あたりにある「保育DXの推進」


この2か所に、三重苦への国の答えが詰まっています。1つずつ見ていきます。




1つ目の答え 定員割れに「保育提供体制の確保」13億円

三重苦の1つ目、園児獲得競争と定員割れへの対応です。


地域の実情を踏まえた保育提供体制の確保 13億円(一部新規)

金額は小さく見えますが、意味は小さくありません。

こども家庭庁の別の調査では、保育所等の利用定員は302万人。前の年から1.3万人減り、**定員充足率は87.7%**まで下がっています。

定員充足率とは、定員に対して実際に何人通っているかの割合です。87.7%ということは、園の席が10あれば、そのうち1つ以上が空いている状態が全国平均ということです。

(この調査は待機児童が9年ぶりに増えた回の記事で詳しく読み解いています)

これまでの国の予算は、施設を増やす方向でした。それが、地域ごとの人口減少に合わせて、提供体制をどう保つのかという方向に軸足を移した。これが、この13億円の意味です。

言い換えると、定員割れはもう園の努力不足の問題ではなく、国が予算をつけて向き合う構造問題になったということなんです。




2つ目の答え 保育士不足に「保育人材の確保」2,921億円

三重苦の2つ目、保育士不足への対応です。同じかたまりの2行下にあります。


多様なニーズに対応した保育の充実、保育人材の確保 2,921億円(拡充)

帝国データバンクの分析にもあったとおり、保育士不足は「配置基準を満たせない → 定員を縮める → 収入が減る」という順番で、経営悪化の引き金に直結します。

だからこそ、人材確保を含むこの枠が、約3,000億円という規模で拡充されているんです。国も、人材を保育の生命線として見ている証拠ですね。

少し下には、こちらの項目もあります。


児童福祉人材の確保・定着・育成支援の推進 33億円

採用と定着に悩む園にとって、来年度どんな支援メニューが出てくるのか。注目しておきたいところです。




3つ目の答え コスト上昇には2つの方向から

三重苦の3つ目、コスト上昇への対応です。ここは2つの方向から動きが出ています。


給与の上昇分は、公定価格で

事業別の資料集に、「子どものための教育・保育給付交付金」のページがあります。公定価格の大もとです。そこに、こう書かれています。


併せて「こども未来戦略」に基づき、民間給与動向等を踏まえた更なる処遇改善を進める。

人件費の上昇、つまり職員の給与引き上げの原資は、公定価格の側で手当てする方針がはっきり書かれています。

ただし、率や金額はまだ書かれていません。「事項要求」という形で、答えは12月の予算案で決まります。

ちなみに昨年は、人事院勧告を踏まえて5.3%の引き上げでした。今年の人事院勧告は3.51%と、すでに8月に出ています。


事務の負担は、保育DXで

もう1つが、**保育DXの推進103億円(拡充)**です。こちらは、請求や監査の事務コストそのものを下げるための投資です。

(保育DX103億円の中身はこちらの記事で詳しく解説しています)

給与の上昇分は公定価格で、事務の負担はDXで。コスト上昇を園がまるごとかぶる構図を変える動きが、2つの方向から出ているんですね。




1枚に整理すると、こうなります

帝国データバンクの「三重苦」

令和9年度概算要求の動き

園児獲得競争・定員割れ

地域の実情を踏まえた保育提供体制の確保 13億円(一部新規)

保育士不足

多様なニーズに対応した保育の充実、保育人材の確保 2,921億円(拡充)

運営コストの上昇

更なる処遇改善(事項要求)/保育DXの推進 103億円(拡充)


倒産のニュースと概算要求のニュース。別々に聞くと、ばらばらの話に見えます。でも並べてみると、国は三重苦の存在をちゃんと認識していて、予算で答えようとしている。これが、今回いちばんお伝えしたかった構図です。




大事な注意:金額はすべて「要求段階」です

ここに並んだ金額は、すべて概算要求、つまりまだ要求の段階です。満額で通るかどうかも含めて、確定は12月下旬の予算案です。ここは断定せずにお伝えしておきます。




二極化の分かれ目は「読めるかどうか」

では、園はどうすればいいのか。

帝国データバンクは、2025年の動向をまとめたレポートで、こう分析しています。


利用者から「選ばれる園」と「淘汰される園」の二極化が進んでいる

二極化と聞くと怖い言葉ですが、同じレポートには、厳しい環境でも利益を出した園の工夫も載っています。


  • 一時預かりや病児保育といった、新しい収益源をつくった園

  • 配置基準が改定されたとき、もともと基準以上の人員を確保していたため、新しい加算が適用されて収入が増えた園


この2つに共通するのは何でしょうか。

それは、制度とお金の動きを知っていて、先に動いていたことです。

加算は、知らなければ取れません。新しい事業も、制度を知らなければ始められません。

二極の分かれ目は、園の規模でも、都会か地方かでもなく、読めるかどうか。 私はそう考えています。




本日のまとめ

持ち帰っていただきたいことは3つです。


  1. 保育園の倒産・休廃業は、3年連続で最多更新の見込み。2026年は8か月で36の園が消え、その7割超が地方です

  2. その原因とされる三重苦(園児獲得競争・保育士不足・コスト上昇)のすべてに、令和9年度の概算要求で国が予算をつけようとしています

  3. 二極化の分かれ目は、園の規模ではなく「読めるかどうか」です


金額の確定は、12月下旬の予算案です。予算案が決まったら、YouTubeチャンネルですぐに速報解説をお届けする予定です。




撮影を終えて

撮影のあと、少しだけお話しさせてください。

国会も始まり、内閣も大きく変わって、これからまた大きな変化が出てくると思います。一方で、保育業界は物価高に押されて、非常に苦しい状況にあります。

私は民間企業の出身なのですが、保育園は一般の会社のように、自分たちで売上をつくるという場面がなかなかありません。そうなると、先を読んで、半年後・1年後をどうするのかを、常に描いておかなければなりません。

この業界でいえば、それは国の動向であり、予算の設定です。そこをしっかり見て、分かった瞬間に先も踏まえて体制を整えておく。昨日言って今日やる、ということはさすがにできませんから、早い段階で知って、早めに動き出すことがとても大事だと思います。

「量から質へ」と国が言い、こうした状況になっている中で、子どもを預かる保育の場がなくなっていくのは、やはり悲しい出来事です。そこに通っていたかもしれないお子さんや、保護者の方のことを想像すると、本当に胸が痛みます。

ですから、園長先生・理事長先生には、先の状況をどんどん確認していただいて、変化を恐れずに、正確な目線で進んでいただきたい。ただ闇雲に動くのではなく、しっかり足場を固めて、それから進み出す。そのことがとても大事だと思っています。

その一助になればと思い、概算要求の解説を続けています。来年1月に実際の予算の資料が出てきたら、それを踏まえた予算の解説もする予定です。処遇改善をはじめ、お金にまつわるところを詳しく解説していきます。

話を聞いて「知れたな」で終わるのではなく、それを踏まえて、園でいまから何をすればいいのか。明日からの第一歩が踏めなければ、意味がないと思っています。そこまでを、セミナーで一緒にやっていければと思います。




理事長先生・園長先生へ セミナーのご案内

ここまで読んで、こんなふうに感じていらっしゃいませんか。


  • 倒産のニュースを見るたびに不安になる。でも、何から手をつければいいか分からない

  • 概算要求や予算案のニュースが流れてきても、自分の園に関係があるのかどうかまでは読み取れない

  • 12月に決まると言われても、それまで待っているだけでいいのか分からない

  • 日々の保育と行事と書類に追われながら、366ページもある国の資料を読み込む時間なんて、正直ない


それが普通だと思います。その「読めない」「動けない」をまとめて解消する場として、セミナーをご用意しています。




◆令和9年度 概算要求まるごと解説セミナー◆


〜国の要求から読む、自園の来年4月準備〜

この記事でお見せした概算要求をまるごと読み解き、自園の準備リストに変えるところまでを行う、理事長先生・園長先生向けのオンラインセミナーです。Zoomのライブでも、後日のオンデマンド視聴でも、ご都合のよい形でご参加いただけます。


受ける前と、受けたあと

受ける前

受けたあと

予算のニュースが読めず、不安だけが残る

「何と比べた数字か」「事項要求かどうか」を見分けて、自分の目で読める

何から手をつけるべきか分からない

4テーマ×3項目の「自園準備チェックシート」で、うちの園の最優先3つが決まっている

12月の予算案を、ただ待つだけ

決まった瞬間に動けるよう、賃金規程や職員への伝え方の仕込みができている


前半は、各項目がなぜ出てきたのかを歴史からひもときます。後半は、チェックシートに自園の状況を書き込むワークです。シートはそのままお持ち帰りいただけます。


日程・受講料

日程(各回同じ内容・Zoom)

時間

2026年 10月 15日(木)

10:10〜12:00

2026年 11月 17日(火)

10:10〜12:00

2026年 12月 15日(火)

10:10〜12:00


12月 15日の回は、予算案が決まる直前です。まさに答え合わせの直前対策になります。

当日のご都合がつかない方は、オンデマンド視聴のみでもお申し込みいただけます。

受講料:9,900円(税込)

オンデマンド視聴が含まれていますので、難しいところは何度でも見返せます。


特典

  1. 自園準備チェックシート(Excel)

  2. 30分の無料個別相談(お申し込みから1か月以内)

お申し込み

お申し込みは1分で完了します。



セミナーでお会いできることを楽しみにしています。




お問い合わせ


特定非営利活動法人 すずらんチャイルドケア

人財育成部 部長 太田 宏彰


〒250-0862 神奈川県小田原市成田475-17 ゼフィールU201

TEL 0465-87-7649




ご質問はホームページのお問い合わせフォーム、または動画のコメント欄からもお受けしています。



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